原状回復の費用相場|借主の負担範囲から安く抑えるポイントまで解説
「部屋を引き払うことになったけど、原状回復って何をすればいいの?」
「費用はどれくらいかかるの?」
と、お悩みではありませんか?
引っ越しの際に必要になる原状回復。
しかし、原状回復の範囲や費用について、正しく理解している人は少ないのが現状です。
原状回復にかかる費用は家賃の1〜2か月分に相当することもあり、予想外の出費に驚く人も少なくありません。
そこでこの記事では、原状回復の費用相場や借主の負担範囲、費用を安く抑えるポイントまでわかりやすく解説します。
正しい知識を身につけることで不要な出費を避け、スムーズな引っ越しを実現できるでしょう。
原状回復の不安を解消し、賢く対処する方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.どのようなことをするの?原状回復とは?
原状回復とは、賃貸物件を借りた人(借主)が退去する際に、部屋を入居時の状態に戻すことを指します。
具体的には壁や床の傷の修繕、設備の清掃や修理、壁紙の張り替えなどです。
例えば、壁に穴を開けてしまった場合や、長年の使用で床に傷がついている場合は、その修復も原状回復の一環となります。
大切なのは、原状回復を行ってから貸主(大家さんや不動産会社)に部屋を返すのが、借主の義務だということです。
ただし、注意したいのは「入居時と全く同じ状態」である必要はないこと。
時間の経過による自然な劣化や、正常な使用による損耗は、原状回復の対象外となります。
2.どれくらい必要?原状回復の費用相場
原状回復の費用は、部屋の広さや状態によって大きく変わります。
「いくらくらい準備すればいいの?」という疑問に答えるため、修繕が必要無く、クリーニングのみだった場合の平均相場をまとめてみました。
間取り | 費用相場 |
1R・1K | 15,000~30,000円 |
1DK・1LDK | 20,000~40,000円 |
2DK・2LDK | 30,000~50,000円 |
3DK・3LDK | 50,000~80,000円 |
4DK・4LDK | 70,000円~ |
上記の表を見てわかるとおり、部屋が広くなるほど費用も高くなる傾向にあります。
ただし、あくまで平均的な相場です。
実際の費用は、入居期間や使用状況によって大きく変動します。
例えば、長期間住んでいた場合やペットを飼っていた場合は、経年劣化による破損や汚れなどが進行している場合が多いため、より高額になる可能性も。
また、都市部では比較的高めに、地方では低めになる傾向にあるので注意が必要です。
原状回復の費用は一概には言えませんが、相場表を参考に自分の住む部屋の広さや状況に応じて、ある程度の目安が立てられるでしょう。
予想外の出費を避けるためにも相場を頭に入れておき、計画的に資金を準備しておくことが大切です。
3.すべて借主負担?原状回復の負担割合
原状回復の費用負担については、借主と貸主の間でしばしばトラブルになる問題です。
一般的な認識では「すべて借主負担」と思われやすいですが、実際にはそうではありません。
以下で、借主と貸主それぞれの負担割合について詳しく見ていきましょう。
(1)借主の負担割合
借主が負担する原状回復の費用は、実は思ったほど多くありません。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、借主の負担は「不注意や故意による損耗・劣化を原状回復させる場合の費用」に限定されています。
具体的には、以下のような例が借主負担になる範囲です。
- 飲み物をこぼしてできたシミやカビ
- 冷蔵庫の下のサビ跡
- 引越し作業で生じた引っかき傷
- 日常清掃を怠ったことによる油汚れやカビ
- タバコのヤニや臭い
- 壁に空けた釘穴やネジ穴
- 落書きなどの故意による損傷
- ペットによる柱などの傷や臭い
- お風呂、トイレ、洗面台の水垢やカビ
- 鍵の紛失や破損による取り替え
借主の負担となるのは、上記のような自身の不注意や過失によって生じた損傷や、通常の使用範囲を超えた劣化に対する修繕費用です。
日常的な清掃や丁寧な使用を心がけることで、負担を最小限に抑えられます。
(2)貸主の負担割合
一方、貸主が負担する原状回復の費用範囲も、同じく国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で明確に定められています。
基本的に、自然な劣化や借主による通常の使用によって生じた消耗は、貸主が負担すべき費用です。
具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 畳の裏返しや表替え
- フローリングのワックスがけ
- 家具の設置による床やカーペットのへこみ、設置跡
- 畳の変色やフローリングの色落ち
- テレビや冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ
- エアコン(借主所有)設置による壁のビス穴や跡
- 日照などの自然現象によるクロスの変色
- 網戸の張り替え(特に破損はしていないが、次の入居者確保のために行うもの)
- 地震で破損したガラス
- 専門業者による全体のハウスクリーニング
- 鍵の取り替え(破損や紛失がない場合)
時間の経過や通常の使用によって、避けられない劣化や消耗と考えられるものです。
つまり、借主は上記の項目について過度に心配する必要はありません。
ただし「通常の使用」の範囲を超えないよう、日ごろから適切な使用と管理を心がけることが大切です。
4.できるだけ安く!原状回復の費用を抑える3つのポイント
原状回復の費用を抑えるためには、事前の準備と日々の心がけが重要です。
以下の3つのポイントを押さえることで不要な出費を避け、スムーズな退去を実現できます。
- 入居する前に契約内容・特記事項を確認しておく
- 入居時の部屋の状態を写真に撮っておく
- 日ごろから部屋をキレイに保つ
各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
ポイント1.入居する前に契約内容・特記事項を確認しておく
原状回復の負担範囲は、賃貸物件によって異なる場合があります。
国土交通省が「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」を定めていますが、あくまでも指針であり、個々の契約内容が優先されるためです。
そのため、賃貸契約を結ぶ際には、原状回復に関する条項や特記事項を特に注意深く確認しましょう。
例えば、壁紙の張り替えや床のワックスがけなど、具体的にどの項目が借主負担となるのかを明確にしておいてください。
不明な点があればその場で不動産会社や大家さんに質問し、理解を深めておくことをおすすめします。
契約内容や特記事項をしっかり把握しておくことで、退去時のトラブルや予想外の出費を防げるでしょう。
ポイント2.入居時の部屋の状態を写真に撮っておく
入居時にすでに存在していた傷や汚れは、原則として借主の負担対象外です。
しかし、退去時に「元からあった」と主張しても、証拠がなければ認められない可能性があります。
そこで重要になるのが、入居時の部屋の状態を写真に記録しておくことです。
壁・床・天井・設備など、部屋全体を細かく撮影しましょう。
特に気になる傷や汚れは、近接撮影も忘れずに。
さらに、撮影した写真を不動産会社や大家さんと共有し、確認してもらうことをおすすめします。
メールやLINEなどで送付し、記録を残しておくと良いでしょう。
事前の備えがあれば、退去時に「この傷は元からあった」と証明でき、不要な費用負担を避けられます。
ポイント3.日ごろから部屋をキレイに保つ
入居者の不注意によって生じた汚れや傷は、原状回復の際に借主の負担となります。
そのため、日ごろから部屋をキレイに保つことが、結果的に原状回復費用を抑えるポイントです。
具体的には、以下のような点に気を付けましょう。
- 週に1〜2回は掃除機をかけ、拭き掃除をする
- 結露やカビを防ぐため、毎日窓を開けて換気する
- 家具の移動時は慎重に、壁に物を掛ける際は専用のフックを使う
- 排水口の掃除を定期的に行い、水漏れにも注意する
部屋をキレイに保つ習慣を身につけることで、退去時に大掃除の手間も軽減されますし、予期せぬ損傷も防げます。
「きれいに使う」ことを意識して、原状回復費用を抑える工夫をしましょう。
5.原状回復にかかる費用を安く抑えよう!
原状回復は、賃貸生活の締めくくりとして必要な作業です。
費用相場を知り、借主と貸主の負担割合を理解することで、不要な出費を避けられます。
さらに、契約内容の確認・入居時の写真撮影・日々の丁寧な暮らしという3つのポイントを実践すれば、原状回復費用を安く抑えられるでしょう。
原状回復は単なる出費ではなく、次の入居者への配慮でもあります。
本記事で得た知識を実践し、原状回復にかかる費用を安く抑える参考になれば幸いです。