犬の真菌症とは?家庭内での注意点や対処法についても解説

愛犬が「真菌(皮膚糸状菌)」の可能性を指摘されて不安になっていませんか?
特に室内で犬と一緒に過ごす時間が長いご家庭では、住環境への影響、家族への感染リスクが気になるところでしょう。
犬の真菌症は、適切な対処をすれば治療できる病気ですが、人間にもうつる可能性があるため正しい知識が必要です。
この記事では、犬の真菌症の症状や原因、家庭内での注意点、そして飼い主ができる対処法について詳しく解説します。
ぜひこの記事を参考にして、正しい対処をしてください。
目次
1.犬の真菌症(皮膚糸状菌症)とは?
犬の真菌症とは、真菌(カビの一種)が犬の皮膚に感染することで起こる皮膚病です。
主な原因となるのは「ミクロスポルム・カニス」や「トリコフィトン・メンタグロフィテス」などの皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)と呼ばれる特別なカビです。
犬の真菌症は完治するまでに数週間から数か月かかることが多く、獣医師による治療と同時に、生活環境の衛生管理がとても重要です。
また、真菌は湿気を好む性質があるため、梅雨時期や換気の悪い環境では特に注意が必要になります。
2.真菌症にかかった犬に見られる主な症状は3つ
犬の真菌症には、飼い主が気づきやすい以下の代表的な症状があります。
- 円形脱毛・被毛の異常
- 皮膚の赤み・フケ・かさぶた
- かゆみがある部分を舐める・噛む
それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
症状1.円形脱毛・被毛の異常
真菌症のもっとも特徴的な症状は、感染部位の被毛が抜け落ちて円形状の脱毛ができることです。
この脱毛は境界がはっきりしており、まるでコンパスで描いた円のような形になることが多いです。
また、まだ毛が抜ける前の段階でも、被毛がパサついたり、ツヤがなくなったり、部分的に薄くなったりする異常が見られます。
毛の根元が弱くなるため、少し触っただけでも毛が抜けやすくなることもあります。
特に顔や耳、前足、しっぽの周辺などは感染しやすい部位です。
これらの場所の被毛が薄くなってきたり、普段と違う状態になったりした場合は、早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
症状2.皮膚の赤み・フケ・かさぶた
感染した部位の皮膚には、赤みやかゆみ、フケ、乾燥などの症状が現れます。
患部に触れるとポロポロと皮膚が落ちたり、かさぶた状になったりしている場合は、真菌感染の可能性が高いです。
皮膚の状態は、初期には軽い赤みからはじまり、進行すると炎症が強くなって腫れることもあります。
また、皮膚の表面が乾燥してフケのようなものが出たり、皮がむけたりすることもよくあります。
症状3.かゆみがある部分を舐める・噛む
真菌感染によるかゆみのため、犬は感染部位をしきりに舐めたり、引っ掻いたり、噛んだりする行動が増えます。
一見皮膚に異常がなくても、愛犬が頻繁に特定の部位を気にしている場合は、初期症状の可能性があります。
このような行動が続くと、舐めることで患部が湿って真菌がさらに繁殖しやすくなったり、噛むことで皮膚が傷ついて症状が悪化したりしてしまうのです。
また、かゆみが慢性化すると、犬にとってストレスとなり、食欲不振や元気がなくなるなどの行動異常につながることもあるため、早めの対処が大切です。
普段と違う行動を見つけたら、皮膚の状態をチェックしてみましょう。
3.犬の真菌症が引き起こされる主な原因は3つ
犬の真菌症が引き起こされる原因は、主に以下の3つです。
- 他の動物や人からの接触感染
- 汚染された物品からの感染
- 住環境での真菌(カビ)の拡散
犬の真菌症がどのようにして起こるのかを理解することで、対策を立てやすくなります。
以下で、それぞれ解説します。
原因1.他の動物や人からの接触感染
真菌症は、すでに感染している猫や犬、人との直接的な接触によってうつる感染症です。
特に散歩中に他の犬と接触したり、ドッグランで遊んだり、トリミングサロンやペットホテルを利用したりする際に感染するケースがよくあります。
真菌の胞子は、感染した動物の毛や皮膚に付着しており、健康な犬が接触することで感染が広がります。
また、人間が感染している場合は、人から犬へ、犬から人へと相互に感染することもあります。
多頭飼いをしている家庭では、1匹が感染するとほかの犬にも広がりやすいため、感染が確認された犬を隔離するなどの対策が必要です。
原因2.汚染された物品からの感染
真菌の胞子は、ベッドや毛布、タオル、ブラシ、洋服などの物品に長期間残存します。
これらの汚染された物品を使用することで、再感染や新たな感染が起こる可能性があります。
特にトリミング道具の使い回しや、キャリーバッグ、首輪、リードなどの共用には十分注意が必要です。
また、感染した犬が使用していた物品を十分に消毒せずに使い続けると、治療中でも再感染を繰り返してしまいます。
そのため、真菌症の治療中は、犬が使用する物品の定期的な洗浄・消毒が欠かせません。
可能であれば、治療期間中は専用の物品を用意することを推奨します。
原因3.住環境での真菌(カビ)の拡散
犬が過ごす室内に真菌の胞子が定着していると、日常生活の中で自然と感染する可能性があります。
胞子は犬の抜け毛やフケに付着して空気中を漂い、カーペットやソファ、キャリーバッグ、エアコン内部などに残留しやすいのが特徴です。
こうした場所に繰り返し触れることで、治療中の犬が再感染したり、ほかの犬に広がったりするリスクがあります。
特に湿度が高く、換気が不十分な環境では真菌の増殖が進みやすいため注意が必要です。
4.人にもうつる?犬の真菌症がもたらす家庭内の注意点
犬の真菌症は「ズーノーシス(人獣共通感染症)」の1つで、犬から人間にもうつる可能性がある病気です。
小さな子どもや高齢者、妊娠中の女性、持病で免疫抑制剤を使用している人などは、特に感染リスクが高くなるため注意が必要です。
人間が感染した場合、皮膚に赤みやかゆみ、円形脱毛などの症状が現れます。
これは「白癬(はくせん)」と呼ばれる皮膚病で、俗に「水虫」や「たむし」と呼ばれるものと同じ仲間の真菌による感染症です。
感染を防ぐためには、犬に触れた後の手洗いの徹底、感染した犬との過度な接触を避ける、共用スペースの清潔保持などが重要です。
また、飼い主や家族に皮膚の異常が現れた場合は、皮膚科と動物病院の両方に相談することをおすすめします。
5.犬の真菌症やカビ対策のために飼い主ができる対処法
犬の真菌症の治療と再発防止には、獣医師による治療と合わせて、飼い主が行う環境管理が欠かせません。
以下の対処法を実践することで、感染をコントロールできます。
- 犬の治療
- 布製品・ペット用品の洗浄・消毒
- 住環境全体の換気・除湿・清掃
- 管理会社・専門業者に相談する
それぞれ見ていきましょう。
対処法1.犬の治療
獣医師の診断に基づく適切な治療が、真菌症克服の第一歩です。
通常は抗真菌薬の内服薬や外用薬、専用の薬用シャンプーなどが処方されます。
治療期間は症状の程度により異なりますが、数週間から数か月かかることが一般的です。
治療中は、感染拡大を防ぐために犬の行動エリアを限定することも大切です。
できるだけ掃除しやすい場所に犬のスペースを作り、カーペットやソファなどの布製品への接触を減らしましょう。
また、処方された薬は獣医師の指示通りに使用し、症状が改善したように見えても、勝手に治療を中断してはいけません。
真菌の完全な除去には時間がかかるため、根気よく治療を続けることが重要です。
対処法2.布製品・ペット用品の洗浄・消毒
犬が日常的に使用する毛布やベッド、服、首輪、リードなどは、こまめに洗濯・消毒を行いましょう。
熱湯(80度以上)での洗浄や、塩素系漂白剤、次亜塩素酸水などを材質に応じて適切に使用することで、真菌を除去できます。
洗濯可能な布製品は、60度以上のお湯で洗濯し、可能であれば乾燥機の高温設定で乾燥させましょう。
洗濯できないものは、アルコール系の消毒液で拭き取るか、可能であれば新しいものに交換することをおすすめします。
ブラシやくしなどのグルーミング用品も、使用後は毎回消毒するか、使い捨てのものを利用することが大切です。
これらの対策により、物品を介した再感染を防ぐことができます。
対処法3.住環境全体の換気・除湿・清掃
真菌は湿気を好むため、室内の湿度管理が重要です。
除湿器や換気扇を活用して湿度を50%以下に保ち、HEPAフィルター付きの掃除機やスチームクリーナーで部屋全体を定期的に清掃しましょう。
特に注意が必要なのは、壁や床の隙間、エアコンの内部など、真菌が入り込みやすい場所です。
カーペットやソファ、カーテンなどの布製品も真菌の胞子が定着しやすいため、可能であれば治療期間中は取り外すか、定期的な専門クリーニングを検討しましょう。
換気は1日数回行い、空気の流れを作ることで胞子の拡散を防げます。
対処法4.管理会社・専門業者に相談する
賃貸住宅にお住まいの場合で、カビ臭がしたり壁紙に変色が見られたりする際は、早めに管理会社や大家さんに連絡することが大切です。
建物自体に湿気やカビの問題がある場合は、個人の対処だけでは限界があるためです。
また、犬の治療を続けているにもかかわらず再発を繰り返したり、部屋全体に臭いが残ったりする場合は、特殊清掃業者への相談を検討しましょう。
専門業者であれば、空間除菌やオゾン処理、防カビ施工などの高度な技術で、根本的な解決を図ることができます。
このような状況では、素人では対処しきれない深刻な汚染を引き起こしている可能性があります。
専門業者の診断を受ければ、最適な対策方法を提案してもらえるでしょう。
6.真菌(カビ)の対処に困ったらプロに相談しましょう
犬の真菌症は、適切な治療と環境管理により克服できる病気です。
しかし、家庭内での対処には限界があり、特に住環境全体に真菌が拡散してしまった場合は、専門的な技術が必要になります。
愛犬の健康回復と家族の安全を確保するためには、獣医師による治療と並行して、住環境の専門的なケアも検討することが重要です。
特に再発を繰り返す場合や、家族に感染の疑いがある場合は、早めの専門業者への相談をおすすめします。
真菌対策は一時的な対処ではなく、根本的な原因の除去が大切です。
Spread株式会社では、カビ除去や衛生環境修復の専門業者として、ペットと人間が安全に暮らせる環境づくりをサポートしています。
IICRC(国際検査・清掃・修復認証協会)やNPO法人カビ相談センターなどの専門機関に加盟し、科学的根拠に基づいた確実なカビ除去が可能です。
真菌症対策やカビ問題でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。