床下浸水が急に起きてしまうと、どう対処すればいいのか迷ってしまうものです。
とはいえ、そのまま放置すると建物の劣化やカビによる健康被害などの深刻なリスクにつながってしまいます。
そこでこの記事では、床下浸水の基本的な知識から原因、放置した場合のリスク、具体的な対処法まで解説します。
初めて床下浸水に直面した方でもわかりやすいように解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1.床下浸水とは?どこからどこまでが「浸水」扱い?
まずは、床下浸水の定義の定義や床上浸水の違いについて詳しく説明します。
それぞれ参考にしてください。
床下浸水の定義とは
床下浸水の定義は、建物の床面下にある空間(基礎部分やコンクリートの下)に水が入り込み、居住スペースである床面までは水が達していない状態です。
一般的な木造住宅では、床下には30〜60cm程度の空間があり、ここに水が溜まってしまうと、湿気が長時間こもり続けます。
さらに雨水や下水などの場合は微生物の繁殖を急激に加速させます。
そのため見た目には室内に影響がないように見えても、床下浸水による被害は建物の内部構造や衛生環境に影響をおよぼすため、決して軽視できません。
台風や集中豪雨の際には、わずか数時間で床下に大量の水が流れ込むケースもあります。
床上浸水との違い
床上浸水は、建物の床面より上にまで水が入り込んでしまった状態です。
家具や家電製品が水に浸かり、生活に直接的な被害がおよぶため、床下浸水よりも深刻な被害を生じるケースが大半です。
一方の床下浸水は、床下の基礎部分に水がたまる状態で、表面的な被害は見えにくいかもしれません。
しかし、床下浸水でも建物へのダメージは大きく、放置すると構造部分の腐敗やカビの発生、シロアリの侵入などの二次被害を招く恐れがあります。
むしろ早期に適切な対処をしないと、後々の修繕費用が増える可能性は十分にあり得るのです。
2.床下浸水が起きる3つの原因とは?
床下浸水が起きる原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 大雨・台風などの自然災害
- 排水設備の逆流・詰まり
- 近隣建物や道路からの影響
以下でそれぞれ見ていきましょう。
原因1.大雨・台風などの自然災害
大雨や集中豪雨が発生すると、地面から水が建物下に侵入して床下浸水が発生します。
実際、気象庁の「台風や集中豪雨から身を守るために」によると、台風や前線を伴った低気圧が日本付近を通過するときには広い範囲に大雨が降り、毎年こうした大雨によって河川の氾濫や土砂災害が発生しています。
場合によっては、梅雨や台風シーズンに短時間で数百ミリメートルの雨が降るケースも珍しくありません。
そのため、以前は浸水しなかった地域でも、環境の変化によって床下浸水のリスクがあるのです。
原因2.排水設備の逆流・詰まり
排水口や雨どい、下水管が詰まっていると、排水がスムーズに行われず床下浸水してしまうケースもあります。
排水設備が正常に機能していれば、雨水は速やかに下水道や河川に流れていきますが、落ち葉やゴミ、土砂などが詰まると水の流れは悪くなり、行き場を失った水が逆流して床下に侵入するのです。
また、古い住宅や長年メンテナンスをしていない建物では、配管の老朽化や腐食によって排水能力が低下するケースもあります。
定期的な清掃や点検がされていない場合、想定以上の水が流れ込むことで床下浸水が起こる恐れがあるため注意してください。
原因3.近隣建物や道路からの影響
床下浸水では、周辺の舗装や排水不良、土地の高低差により、自宅に雨水が流れ込むケースもあります。
たとえば、近隣で大規模な開発や造成工事が行われた結果、水の流れが変わり、雨水が自宅方向に集中してしまうケースもあるのです。
特に自宅の敷地が周囲より低い位置にある場合や、道路から水が流れ込みやすい構造になっている場合は、大雨の際に周囲の雨水が集中しやすくなります。
また、隣接する建物の排水が自らの敷地に流れ込んでくるケースもあります。
周辺環境の変化に気づいたら、早めに自治体や専門業者に相談し、排水経路の見直しや対策工事を検討してください。
3.床下浸水を放置する4つのリスク
床下浸水を放置すると、以下のようなリスクが考えられます。
- カビ・シロアリによって建物が劣化する
- アレルギーなどの健康被害が起こる
- 臭い・湿気によって生活環境が悪化する
- 保険の適用外になる可能性がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
リスク1.カビ・シロアリによって建物が劣化する
湿気によってカビ・シロアリが増えれば、木材の腐敗や基礎部分の劣化が進行し、建物の耐久性に深刻なダメージを与えます。
床下に水が溜まると湿度も極端に高くなり、木材を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん)やカビ、その他さまざまな微生物が繁殖しやすい環境となってしまうからです。
これらは時間をかけて徐々に侵食をしていくため、すぐにはわからず、気づいたときには被害が広がっているケースも少なくありません。
湿った木材はシロアリにとって格好の餌となり、床下浸水後に適切な対処をしないと、建物内部に侵入して構造材を食い荒らす危険性が高まります。
ひどいケースでは床が傾いたり、柱の強度が落ちたりして、最悪の場合は建物の倒壊リスクにもつながります。
木造住宅では特にこのリスクが高く、一度腐朽が始まると修復に多額の費用がかかるため、早期の対策が不可欠です。
リスク2.アレルギーなどの健康被害が起こる
床下浸水を放置すると目に見えないカビなどの微生物やダニ、その他害虫などが繁殖し、喘息や皮膚トラブル、アレルギー性鼻炎などの原因になります。
床下にカビやその他微生物が発生すると、生活環による胞子や代謝反応による毒素などを産生します。
これらが室内に侵入し、気づかないうちに吸い込んでしまいかねません。
特に小さな子どもや高齢者、アレルギー体質の方は影響を受けやすいため注意が必要です。
また、カビやその他微生物をエサに繁殖するダニや害虫なども多くいるため、アレルギーのリスクも高まります。
床下浸水後に「体調が悪い」「咳が止まらない」といった症状が出た場合は、床下のカビが原因である可能性を疑い、専門業者への点検依頼を検討してください。
リスク3.臭い・湿気によって生活環境が悪化する
床下にたまったカビ臭や土臭さが家中に広がるケースもあり、日常生活に支障をきたします。
床下浸水によって発生する独特の臭いは、MVOC(生物由来の揮発性有機化合物)が要因である可能性が極めて高いため、換気や消臭剤だけでは簡単に取り除けません。
湿気が室内にまで上がってきてしまえば、押し入れやクローゼットの中もジメジメとし、衣類や布団にもカビが生えやすくなります。
さらに、室内の湿度が高い状態をそのまま放置すれば、壁紙が剥がれたり、家具が傷んだりするリスクも否めません。
家族全員の生活を守るためにも、早めの対処が必要です。
リスク4.保険の適用外になる可能性がある
床下浸水の放置による腐敗や悪化は「経年劣化扱い」と判断され、保険適用外になる可能性も1つのリスクです。
通常、火災保険の水災補償は、自然災害による被害を対象としています。
しかし、被害発生後に適切な対応をせずに放置した結果として生じた二次的な被害は、保険会社から「管理不足」と判断されて適用外になる可能性があるのです。
保険金を受け取るためには、被害の状況を写真で記録し、速やかに保険会社に連絡して指示を仰ぐことが大切です。
また、保険契約の内容によっては、そもそも床下浸水が補償の対象外となっている場合もあるため、事前に契約内容を確認してください。
4.床下浸水が起きたときの5つの対処法
ここからは、床下浸水が発生したときの具体的な対処法を5つのステップで解説します。
- 安全を確認しブレーカーを切る
- 写真を撮って状況を記録しておく
- 管理会社・保険会社へ連絡する
- 床下点検口から水の有無・量を確認する
- 可能であれば水を排出する
順番に対応を進めていきましょう。
対処法1.安全を確認しブレーカーを切る
感電や漏電を防ぐため、まずは電気を遮断して安全を確保してください。
床下に水が溜まっている状態では、電気配線が水に触れて漏電し、命に関わる事故につながる恐れがあります。
まず、家の分電盤にあるメインのブレーカーを落として、電気の供給を完全に止めてください。
その後、床下や浸水箇所に近づく前に、周囲に危険な箇所がないか確認します。
特に、コンセントや電気製品が水に浸かっている場合は、絶対に素手で触れないようにしてください。
対処法2.写真を撮って状況を記録しておく
次に、スマホで水位や被害状況を撮影してください。
保険会社や業者へ被害の程度を正確に伝えるためにも、写真による記録が有効です。
可能であれば、複数の角度から撮影し、床下の水の深さや浸水範囲、浸水した日時などもメモしておきましょう。
- 全体の様子がわかる引きの写真
- 被害箇所の詳細がわかる寄りの写真
- 床下点検口を開けた内部の状況
上記のように、できるだけ多くの写真を残しておくと安全です。
対処法3.管理会社・保険会社・市役所へ連絡する
次に、管理会社・保険会社へ被害状況を報告し、今後の対応方針や保険適用の可否を確認してください。
賃貸住宅の場合は、まず管理会社やオーナーに連絡して、床下浸水が発生した経緯・状況を伝えます。
持ち家の場合は、加入している火災保険の保険会社に速やかに連絡してください。
保険会社への連絡は、被害発生から時間が経つほど対応も難しくなるため、できるだけ早めに行うのがポイントです。
また、火災と同様に市区町村による公的支援(罹災ゴミ対応など)を受けられるケースもあるため、市役所や区役所に相談をしてみるのも良いでしょう。
連絡の際には、被害の発生日時や原因、範囲、程度を具体的に説明し、撮影した写真も提出できるように準備してください。
対処法4.床下点検口から水の有無・量を確認する
次に、床下点検口を開けて、浸水状況を目視で確認しましょう。
確認する際には、懐中電灯やスマホのライトを使って、床下全体をよく観察します。
水が溜まっている場合は、その深さや範囲を確認し、可能であれば写真に収めておきましょう。
尚、水位は保険活用する際に重要なポイントとなりますので水位が分かるような痕跡があった場合は残しておくようにしましょう。
ただし、床下に潜り込むのは危険が伴うため、無理に入らないようにしてください。
また、床下の状況を確認する際には、カビ臭や腐敗臭がないかもチェックします。
強い臭いがする場合は、すでにカビや腐敗の進行が考えられるため、早急に専門業者へ相談しましょう。
対処法5.可能であれば水を排出する
安全が確保されたらバケツで汲み出したり、雑巾で吸い取ったりして排水作業を行いましょう。
バケツで汲み出したり、雑巾で吸い取ったりして排水作業を行いましょう。
また、ホームセンターなどで購入できる小型の排水ポンプを使用すると、効率よく水を排出できます。
ただし、床下の構造が複雑で困難な場合は、無理をせず専門業者に依頼してください。
5.床下浸水に火災保険は使える?
火災保険に「水災補償」が付帯されていれば、床下浸水も保険の対象になる可能性があります。
ただし、契約時に費用を抑える目的で水災補償を外している場合や、補償の対象外となる条件が設定されている場合もあります。
そのため、まずは保険契約の内容を確認してください。
一方、給排水設備の故障による浸水は「水漏れ補償」など別項目での対応になるケースも見られます。
いずれにおいても、被害状況の記録と報告が適用かどうかを判断する材料になるため、記録を保管しておきましょう。
6.床下浸水の修理・復旧は業者に依頼すべき?
床下浸水の修理・復旧には費用がかかりますが、長期的に見れば、プロへの依頼がもっとも確実で安心できる選択です。
床下の乾燥や除菌・カビ除去は専門知識と専用機材が必要なため、自力での復旧では完全に乾燥できず、再発や健康被害の原因になります。
床下浸水の対応でもっとも重要なのは、「完全に乾燥すること」と「衛生的に清掃すること」の2点です。
これらは一般の方が行うには限界があるため、業者に依頼することを推奨します。
業者であれば除菌や防カビ処理、シロアリ対策といった衛生管理も同時に実施できるため、二次被害のリスクも減らせます。
7.床下浸水にお困りならSpread株式会社へ
床下浸水にお困りでしたら、ぜひSpread株式会社へお声がけください。
一般家庭では対応が難しい乾燥・除菌・カビ除去・臭気対策までトータルで対応でき、床下浸水の修復にも豊富な実績があります。
また、IICRC(検査、清掃、修復業界向けの国際的な認証機関)をはじめとする複数の専門団体に加盟しており、最先端のカビ除去システムや衛生管理技術を持つプロ集団です。
床下の抽水排水から、洗浄、除湿、除菌、防カビ処理までお困りごとに一貫して対応いたします。
工場や宿泊施設、飲食店、個人宅など、規模に関わらず対応可能ですので、お困りの際はぜひSpread株式会社にお問い合わせください。
>>復旧・修復・回復・除去・掃除にお困りならSpread株式会社にお任せください
8.床下浸水は早めの対処と相談が大切です
床下浸水は、放置すると建物の劣化や健康被害、さらには保険適用外といった深刻なリスクにつながります。
床下浸水の原因はさまざまで、大雨や台風といった自然災害だけでなく、排水設備の不良や周辺環境の変化も影響する被害です。
被害に気づいたら、まずは安全を確保し、写真で記録を残しつつ、管理会社や保険会社に連絡してください。
自力での対応には限界があるため、専門業者に適切な修復と予防策を依頼するのが長期的に見てもっとも安心で確実な方法です。
Spread株式会社は、床下浸水の修復から衛生管理まで、豊富な経験と専門技術でトータルサポートが可能です。
お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。






