ゴミ屋敷から引越しすることはできる?引っ越すための流れや業者の選び方を解説

ゴミ屋敷からの引越しは、通常の引越しとは比べものにならないほど大変な作業です。
「ものが多すぎて動線が確保できない」「必要なものと不要なものの区別がつかない」「このまま引越し業者に作業を依頼できるのだろうか」などと途方に暮れている方も多いのではないでしょうか。
ゴミ屋敷からの引越しには、想像以上のリスクが潜んでいます。
準備不足のまま引越し日を迎えると、業者から作業を断られたり、予想外の追加料金が発生したりする可能性もあります。
また最悪の場合、退去時の原状回復費用が家賃数か月分に膨れ上がることもあるでしょう。
そこで本記事では、ゴミ屋敷状態の部屋から、スムーズに引越しを完了させるための具体的な手順と注意点を解説します。
「確実に引越しを完了させたい」という方は、ぜひ最後までご一読ください。
1.ゴミ屋敷のまま引越し業者に作業は依頼できません!
ゴミ屋敷の状態で引越し作業を依頼しても、業者からはほぼ確実に断られます。
最悪の場合、作業当日になって「この状態では作業できない」と断られ、引越しそのものが延期になることもあるでしょう。
その理由は、作業効率の著しい低下と事故のリスクが高まるためです。
床一面に散らかった荷物や積み重なったゴミは作業員の動線を妨げ、家具や荷物の搬出を困難にします。
また、足場が不安定になることで、作業員の転倒や怪我、大切な荷物の破損につながる可能性も高くなります。
仮に引越し業者が作業を引き受けてくれたとしても、追加料金が発生するケースがほとんどです。
さらに、ゴミ屋敷の部屋はカビや害虫が発生していることが多く、衛生面でも問題があります。
作業員の健康を害するだけでなく、荷台や他の利用者の荷物を汚染するリスクにもつながります。
そのため、引越しの際には不要品の処分を済ませ、最低でも作業員が安全に移動できるスペースと、荷物の仕分けができる作業スペースを確保しておく必要があるのです。
2.ゴミ屋敷から引越しする5つの流れ
ゴミ屋敷からの引越しは、通常の引越しとは異なり以下の手順が必要です。
- 部屋を掃除する
- 荷物をまとめる
- 引越し業者に依頼する
- 引越しを行う
- 原状回復を行う
それぞれについて、詳しく解説します。
流れ1.部屋を掃除する
まずは部屋に散乱しているゴミの分別作業から始めます。
可燃ゴミ、不燃ゴミ、資源ゴミなど、自治体のルールにしたがって適切に分類していきましょう。
この際、必要なものと不要なものを明確に仕分けることが重要です。
長年使用していない衣類や書籍、古い家電製品などは、思い切って処分を検討しましょう。
また、粗大ゴミについては自治体の収集サービスを使うか、専門の廃棄物処理業者に依頼することをおすすめします。
ゴミの高さが天井に達している場合など、ゴミ屋敷の状態が深刻なケースでは、清掃業者に依頼することがおすすめです。
流れ2.荷物をまとめる
新居に持っていく荷物は、カテゴリーごとに分類してダンボールに梱包します。
衣類、食器、書籍など、用途別に整理することで、新居での荷解きがスムーズになります。
特に重要な書類や貴重品(通帳、印鑑、身分証明書など)は別途保管し、紛失しないよう細心の注意を払いましょう。
梱包する際は、ダンボールの中身が分かるようラベリングを行い「重要」「壊れ物注意」などの表示も忘れずに行います。
また、すぐに使う必要がある生活必需品は、別箱にまとめておくと便利です。
流れ3.引越し業者に依頼する
部屋の片付けが完了したら、複数の引越し業者から見積もりを取ります。
この時点でゴミが残っていると、追加料金が発生したり、最悪の場合は作業を拒否されるリスクがあります。
見積もり時には、荷物の量や特殊な搬出入条件などを正確に伝え、トラブルを防ぎましょう。
また、エレベーターの使用制限や駐車場の確保など、建物固有の条件も確認が必要です。
見積額だけでなく、作業内容や保証内容もしっかり比較検討することをおすすめします。
流れ4.引越しを行う
引越し当日は、作業がスムーズに進むよう、搬出入の順序や配置場所を事前に計画しておきましょう。
貴重品や壊れやすい物は自分で運ぶなど、荷物の特性に応じた対応を心がけることが大切です。
新居での荷解きは、生活に必要なものから優先的に行い、徐々に整理整頓を進めていきます。
この際、新居でもゴミ屋敷化しないよう、ものの定位置を決めて収納することが大切です。
必要に応じて収納用品を購入し、整理しやすい環境を整えましょう。
流れ5.原状回復を行う
ゴミ屋敷から退去する際は、多くの場合で原状回復の作業が必要になります。
長期間ゴミを放置したことによる壁紙の変色や床材の損傷、染み付いた臭いなどに対する専門的な処置が必要なためです。
特に、壁紙の張り替えや床材の補修、エアコンのクリーニング、消臭作業などは、専門の清掃業者に依頼することをおすすめします。
なお、原状回復工事を入居者が無断で手配すると、後々のトラブルや二重費用の発生リスクが高まるため、必ず管理会社へ相談した上で進めることが重要です。
原状回復が不十分だと、敷金が返還されないだけでなく、追加の修繕費用を請求される可能性もあるため、適切な手順で対応しましょう。
3.ゴミ屋敷を自分で片付けることは困難
ゴミ屋敷の片付けを自力で行うことは、想像以上に困難です。
特にゴミの分別や搬出作業を1人で行うのは、体力的にも時間的にも大きな負担となります。
ただし、以下のような条件がすべてそろっている場合のみ、自力での片付けも不可能ではありません。
- 家の広さが3DK以内である
- 足の踏み場が確保されている
- ゴミが天井まで積み上がっていない
- 水回りが問題なく使用できる
- すぐに捨てられるゴミが大半を占める
- 仕分けの手間が少ない
- 害虫や悪臭などが発生していない
しかし、この条件をすべて満たすゴミ屋敷は極めて稀です。
多くの場合、ゴミが積み重なり、腐敗や汚損も進んでいるため、自力での仕分けや処分は困難を極めます。
このような状況を考えると、搬出作業や処分の手間を軽減するためにも、専門の清掃業者に依頼することを強くおすすめします。
プロの力を借りることで、効率的かつ確実な片付けが可能となり、引越しまでのスケジュール管理もしやすくなるでしょう。
4.ゴミ屋敷からの引越しにかかる費用
ゴミ屋敷からの引越しでは、以下3つの費用がかかります。
- 清掃業者に支払う費用
- 引越し業者に支払う費用
- 原状回復に必要な費用
費用は部屋の広さや汚れの程度によって大きく変動するため、事前に予算を確保しておく必要があります。
費用1.清掃業者に支払う費用
ゴミ屋敷の清掃費用は、部屋の広さと汚れの程度によって大きく異なります。
基本的な清掃費用の相場は以下のとおりです。
間取り | 費用相場 |
1R~1K | 8~28万円 |
1DK~3LDK | 13~50万円 |
4DK以上 | 24~70万円 |
さらに、ゴミの処分費用も必要です。
地域によって処理費用が異なりますが、以下を参考にしてみてください。
地域 | 処理費用(kg当たり) |
東京23区 | 17.5円/kg |
横浜市 | 13円/kg |
大阪市 | 27円/kg(運搬費用込み) |
名古屋市 | 20円/kg(運搬費用込み) |
この費用に加えて、運搬費用も別途必要になる場合があるため、事前に業者に確認することをおすすめします。
費用2.引越し業者に支払う費用
引越し費用は、荷物量や移動距離、そして引越しの時期によって変動します。
一般的な相場として、1Kの場合は5万~10万円、2LDKの場合は10万~20万円程度が目安です。
ただし、ゴミ屋敷の場合は荷物の量が多くなりがちなため、通常よりも費用が高くなる可能性もあります。
また、繁忙期(3月~4月)は料金が割増になることも考慮しましょう。
事前に複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。
費用3.原状回復に必要な費用
ゴミ屋敷特有の損耗による原状回復費用は、通常の引越し時よりも高額になりやすいです。
床の染みや壁紙の剥がれなど、生活痕が激しい場合は、全面的な補修が必要になることもあります。
軽度な修繕であれば1K当たり5万円程度で済みますが、床や壁紙の全面補修が必要な場合は15万~50万円かかることもあります。
退去時のトラブルを避けるため、入居時の契約内容を確認し、必要な修繕範囲を事前に把握しておくことが重要です。
5.ゴミ屋敷からスムーズに引越しを行うための清掃業者の選び方
ゴミ屋敷の片付けを成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
- ゴミ屋敷清掃の実績がある業者を選ぶ
- 依頼する作業・オプションを明確にしておく
- 複数の業者から見積もりを取り、比較する
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
選び方1.ゴミ屋敷清掃の実績がある業者を選ぶ
ゴミ屋敷の清掃は一般的な掃除とは大きく異なるため、専門的な知識と経験が欠かせません。
業者選びでは、まず公式サイトで過去の施工事例を確認しましょう。
ビフォーアフターの写真が豊富に掲載されている業者は、実績と自信の表れといえます。
また、口コミや体験談などの評価も重要な判断材料です。
特に、ゴミの分別処理や害虫駆除、消臭作業など、複合的な課題に対応している実績があるかをチェックしましょう。
選び方2.依頼する作業・オプションを明確にしておく
清掃業者に依頼する前に、必要な作業内容を具体的にリストアップしましょう。
基本的な不用品の仕分けや処分に加えて、害虫駆除や消臭作業が必要かどうかを確認してください。
また、使える家具や家電製品は買取可能な場合もあるため、清掃業者が対応してくれるかも確認してみましょう。
事前に作業範囲を明確にしておくことで、見積もりの正確性が高まり、予算管理がしやすくなります。
選び方3.複数の業者から見積もりを取り、比較する
最低でも3社以上から見積もりを取得し、料金やサービス内容を比較検討しましょう。
信頼性の高い業者の見積書には作業内容の詳細な内訳が記載されているため、「一式」という曖昧な表記しかない業者は避けるべきです。
特に安価な見積もりを出してきた業者については、隠れた追加料金がないか慎重に確認する必要があります。
複数の見積もりを比較することで、適正価格が見えてくるだけでなく、業者との価格交渉も有利に進められます。
ゴミ屋敷から引っ越す場合はプロに依頼しましょう
ゴミ屋敷からの引越しには、通常の引越しとは大きく異なる作業量と専門知識が必要です。
自力での片付けは時間的にも体力的にも大きな負担となり、期限までに完了できないリスクが高いといえます。
特に気をつけたいのは、引越し業者は基本的に「片付いた状態の部屋」からの作業しか受け付けないという点です。
そのため、まずは清掃業者による専門的な片付けサービスを使うことが、スムーズな引越しへの近道となります。
プロの清掃業者は、分別のノウハウや処分方法に精通しているため、効率的に作業を進めることができます。
清掃業者選びで大切なのは、実績のある清掃業者を選び、作業内容と費用を事前に明確にしておくことです。
複数の業者から見積もりを取得して比較検討することで、適正な価格で信頼できる業者に依頼できます。