孤独死が起きたらするべき特殊清掃とは?業者への依頼や費用相場を解説
「母や父が孤独死していたら…」と、不安が頭をよぎったことはありませんか?
孤独死の発覚は、心の準備ができていたとしても大きなショックを受けるでしょう。
しかし、孤独死した現場を放置すると部屋の腐敗や悪臭が発生するため、冷静かつ速やかに清掃をしなくてはいけません。
そこでこの記事では、孤独死が発覚した際の清掃の流れや注意点を詳しく解説します。
万が一の事態に備え、適切な対応方法を知っておくことで、心の負担を少しでも軽減できるはずです。
一緒に、孤独死後の清掃について学んでいきましょう。
1.孤独死が発覚したら速やかに特殊清掃を行いましょう
孤独死が発覚した場合、行うべき対応の1つが「特殊清掃」です。
特殊清掃とは、人知れず亡くなった方が住んでいた部屋の、原状回復を含めた専門的な清掃作業のこと。
孤独死が起きた現場は、時間が経つにつれてさまざまな問題が発生するため、速やかに対応する必要があります。
例えば、死臭が部屋に染み付いてしまい、取れなくなってしまう場合です。
最悪の場合、孤独死の発生が原因で、今後部屋に人が住めなくなってしまう可能性もあります。
また特殊清掃は、単なる掃除ではありません。
衛生的かつ安全な環境を取り戻すための専門的な作業です。
そのため、専門知識と経験を持つ業者に依頼してください。
さらに、速やかな対応は物理的な問題を防ぐだけでなく、心理的な負担の軽減にもつながるでしょう。
早期に部屋を原状回復することで、故人を偲ぶ場所としても適切な環境を整えられます。
2.素人では不可能!孤独死後の特殊清掃は業者に依頼しよう
孤独死が発覚した際「自分たちで清掃できるのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、孤独死後の特殊清掃は、素人が行うには困難で危険な作業です。
孤独死の発見が遅れると、部屋には強烈な死臭が染み付いています。
部屋に染みついた死臭は一般的な消臭剤では除去できず、専門的な技術と機材が必要です。
遺体の腐敗に伴い発生する害虫の駆除も、素人には手に負えません。
また、遺体から漏れ出た体液や血液の処理は、感染症のリスクがあるため、適切な防護具と専門知識が不可欠です。
素人が不適切な方法で清掃を行うと、かえって健康被害を引き起こしてしまいます。
費用はかかりますが、安全性と効果の面から見ても、専門の業者に依頼すべきです。
特殊清掃業者は、孤独死が発生した部屋で起こる数々の問題に対処するための、専門的な訓練を受けています。
素人の対応では、不十分な清掃結果や二次被害のリスクが高まるため、迷わず特殊清掃のプロに任せましょう。
3.孤独死が起きた部屋を特殊清掃するまでの6つの流れ
孤独死が発生した部屋の特殊清掃は、慎重かつ適切に進める必要があります。
孤独死が起きた部屋を特殊清掃するまでの流れは、以下のとおりです。
- 孤独死を発見したら警察に通報する
- 業者に特殊清掃の見積もりを依頼する
- 特殊清掃をしてもらう
- 不用品や遺品整理をする
- 除菌・消臭する
- リフォームする
それでは、各ステップの詳細を見ていきましょう。
流れ1.孤独死を発見したら警察に通報する
孤独死を発見した場合、最初に警察へ通報しましょう。
通報して駆けつけた警察によって、死因の特定や身元確認などの調査が行われます。
なお、通報後は警察が到着するまで、部屋のものに一切触れないようにしてください。
遺体や室内の状況を変えてしまうと、正確な死因の特定が困難になってしまいます。
孤独死を発見したら即座に警察に通報し、指示があるまで現場を保全することが重要です。
孤独死の現場を発見してからの初動対応が、その後の特殊清掃をスムーズに進めるうえで極めて重要なポイントになります。
流れ2.業者に特殊清掃の見積もりを依頼する
警察による現場検証が終了し入室許可が出たら、特殊清掃業者へ見積もりを依頼します。
複数の業者に連絡を取り、見積もりを比較検討しましょう。
より正確な見積もりを依頼するために、部屋の状況や発見までの経過時間など、詳細な情報を提供してください。
また業者を選ぶ際は、単に価格だけではなく、業者の実績や対応の丁寧さ、作業内容なども考慮しましょう。
孤独死現場の特殊清掃は、専門性の高い作業が必要になるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
流れ3.特殊清掃をしてもらう
業者の選定が完了したら、できる限り早急に特殊清掃を実施してもらいましょう。
時間が経つほど、臭いや汚れが染み付いてしまい、清掃での除去が困難になります。
臭いや汚れの原因の多くは生物由来のもので、繁殖や成長に伴い、被害範囲の拡大や有害物質の産出が行われるため、危険指数が上昇し続けてしまうのです。
また、清掃中は安全上の理由から、通常は部屋に立ち入ることができません。
そのため、現金や預金通帳、印鑑などの貴重品は事前に取り出しておく必要があります。
物が多く事前の取り出しが難しい場合は、清掃と併せて貴重品などの捜索も特殊清掃業者に依頼しておきましょう。
そして清掃が完了したら、業者から作業内容の報告を受けます。
その際、疑問点があれば遠慮なく質問しましょう。
清掃の結果に納得がいかない場合は、追加作業の依頼も可能です。
特殊清掃は専門家に任せつつ、依頼者としても適切なコミュニケーションを取り、満足のいく状態へ原状回復させましょう。
流れ4.不用品や遺品整理をする
特殊清掃が終了したら、部屋に残された不用品や遺品の整理を行います。
不用品や遺品の整理は、故人の思い出を大切に保管しつつ、不要なものを適切に処分する過程。
家族や親族で行うこともできますが、心理的な負担が大きい場合は、専門業者に依頼するのも1つの選択肢です。
なかには、特殊清掃と遺品整理をセットで行ってくれる業者もいるため、そういったサービスを利用することでより効率的に進められます。
不用品や遺品を整理する際は、故人の意思を尊重しつつ、家族間で話し合いながら進めてください。
流れ5.除菌・消臭する
部屋での作業が一通り終わったら、再度除菌・消臭作業を行います。
残存する細菌やウイルスを完全に除去し、臭いを徹底的に取り除くためのステップです。
除菌・消臭作業は、特殊清掃の一環として業者が行う場合もありますが、念には念を入れて追加で行うことをおすすめします。
特に臭いの問題は、近隣住民への配慮という観点からも重要な作業です。
業者によっては、オゾン発生器や特殊な薬剤を使用して、目に見えない細菌や臭いの元までしっかりと除去します。
また、エアコンのフィルターや換気扇など、見落としがちな場所も処理しなければなりません。
単に臭いを消すだけでなく、その原因を根本的に取り除くことで、後々臭いが再発するリスクを抑えられます。
流れ6.リフォームする
最後に、必要に応じてリフォームを行いましょう。
孤独死によって腐敗した床や汚れた壁は、単なる清掃では完全に回復できません。
今後も問題なく部屋を使用できるよう、原状回復するためにリフォームが必要です。
またリフォームの範囲は、被害の程度によって異なります。
軽微な場合は壁紙の張り替えや床の一部補修で済みますが、深刻な場合は床下や壁の構造部分まで取り替えることも少なくありません。
建物の所有者や管理会社とも相談しながら、リフォームの範囲や方法を決定していく必要があります。
適切なリフォームで部屋を再び使用可能な状態に回復させ、新たな生活の場としての準備を整えましょう。
4.どれくらい?業者に特殊清掃を依頼する際の費用相場
特殊清掃を業者に依頼する際の費用は、部屋の広さや状況によって大きく変わります。
一般的な相場を知っておくことで、適切な予算計画を立てられるでしょう。
以下の表は、一般的な間取りごとの特殊清掃の費用相場です。
間取り | 費用の目安 |
1K〜1R(9㎡〜28㎡) | 80,000〜300,000円 |
1DK〜3LDK(25㎡〜70㎡) | 100,000〜500,000円 |
4DK〜(71㎡~) | 200,000〜700,000円 |
ただし、上記はあくまで目安であり、実際の費用は地域や業者、汚染の程度などさまざま要因で変動します。
例えば、発見までの経過時間が長い、または汚染の程度が深刻なほど、費用の高騰は避けられません。
しかし、専門的な知識と技術、適切な機材を使用して行われる作業であることを考えると、決して不当な金額ではありません。
とはいえ、特殊清掃の費用は部屋の状況によって大きく変わるため、正確な金額は現地調査後の見積もりで確認しましょう。
5.優良な特殊清掃業者を選ぶ3つのポイント
孤独死後の特殊清掃は、専門性の高い技術が必要になります。
そのため、信頼できる業者を選ぶことが極めて重要です。
ここでは、優良な特殊清掃業者を選ぶための3つのポイントを紹介します。
- 実績があるか
- 必要な作業をすべて行ってもらえるか
- 見積もりは明確か
上記のポイントを押さえることで、適切な業者選びができます。
順番に各ポイントを詳しく見ていきましょう。
ポイント1.実績があるか
特殊清掃業者を選ぶ際、最も重要なポイントが実績です。
実績は、その業者の経験と信頼性を示す指標になります。
特殊清掃は一般的な清掃とは全く異なるため、実績がない業者では適切に対応できません。
業者選びの際は、公式ホームページや口コミサイトなどで、特殊清掃の実績をしっかり確認しましょう。
ポイント2.必要な作業をすべて行ってもらえるか
優良な業者を選ぶ2つ目のポイントは、必要な作業をすべて行ってもらえるかどうかです。
特殊清掃では、洗浄・解体・除菌・消臭・清掃・害虫駆除・天壁床の張り替えなど、現場の状況に応じてさまざまな作業が必要になります。
必要な作業を一括して行ってくれる業者を選ぶことで、複数の業者を手配する手間を省けるでしょう。
業者に見積もりを依頼する際は、現場の状況を詳しく説明し、どのような作業が必要になるかを確認してください。
作業内容を事前に明確にすることで「この作業やってもらっていない」といった事態を防ぐことにもつながります。
ポイント3.見積もりは明確か
特殊清掃業者を選ぶ3つ目のポイントは、見積もりの明確さです。
適切な見積もりは、信頼できる業者の証。
優良な業者は、作業内容と料金を明確に記載した、詳細な見積書を提供してくれます。
清掃の範囲や使用する機材・薬剤、作業時間や追加料金が発生する項目などが明記されているか、漏れなく確認しましょう。
いい加減な見積もりや、後から追加料金を請求する悪徳業者も存在するため、
見積書の内容をしっかり確認し、不明な点があれば質問しておくことも大切です。
適切な内容と価格で、質の高いサービスを受けられる業者を選びましょう。
孤独死が起きたら速やかに業者へ特殊清掃を依頼しましょう
孤独死の発見は心理的に大きな負担となりますが、適切な対応を知っておくことで、冷静に行動できます。
速やかな対応がさまざまな問題を防ぎ、心理的負担の軽減にもつながるでしょう。
とはいえ、特殊清掃は専門性が高く、素人では適切に対応できません。
信頼できる業者を選ぶことが重要で、実績・作業範囲・見積もりの明確さが優良な業者を見極めるポイントです。
費用は状況によって変動しますが、適切な予算計画を立てることで、質の高いサービスを受けられます。
この情報が万が一の心の支えとなり、適切な行動につながることを願っています。