親族が孤独死したとき誰が遺品整理すべき?特徴や遺品整理の手順について

親族が孤独死したとき誰が遺品整理すべき?特徴や遺品整理の手順について

「身内が孤独死してしまった…」「遺品整理をどうすればいいの?」「誰が責任を持って対応すべき?」など、突然の出来事に戸惑い、心の整理がつかないまま、現実的な問題に直面することは辛いものです。

孤独死の遺品整理は、通常の遺品整理とは異なる特殊な対応が必要です。

適切な知識がないまま進めると、衛生面のリスクや近隣トラブルを引き起こしかねません。

そこで本記事では、孤独死した場合の遺品整理について、誰が行うべきか、どのように進めるべきかを詳しく解説します。

遺品整理の進め方に不安を感じている方は、ぜひ最後までご一読ください。

1.親族が孤独死したとき誰が遺品整理をするべき?

遺品整理をする部屋

親族が孤独死した場合、遺言があれば指示にしたがって相続人を決定します。

しかし、多くの孤独死のケースでは遺言が残されていないことも多いのが現実です。

このような場合、血縁関係や婚姻関係に基づいて、自動的に相続人となる「法定相続人」が遺品整理を行います(後述)。

まずは遺言の有無を確認し、なければ法定相続人が遺品整理の責任を負うと覚えてください。

法定相続人について

法定相続人とは、民法に基づいて定められた相続権を持つ人のことです。その順序は以下のように定められています。

  1. 配偶者
  2. 子(子が死亡している場合は孫など)
  3. 直系尊属(親、祖父母など)
  4. 兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡している場合はその子)

例えば、孤独死した叔母に子どもがいない場合、兄弟姉妹やその子どもたちが法定相続人となる可能性があります。

相続権自体は放棄しない限り法定相続人には遺品整理の義務があり、原則としてこれを放棄することはできません。

ただし、孤独死の場合は悪臭や衛生上の問題から、相続人でなくても緊急的に特殊清掃を手配する必要が生じることもあります。

2.孤独死現場の遺品整理における2つの特徴

遺品整理をする部屋

孤独死現場の遺品整理における主な特徴は以下の2つです。

  • 現場にあった遺品はほぼ処分される
  • 個人で遺品整理するのは難しい

なぜ特殊な対応を必要とするのか、どのように取り組むべきかの参考にしてください。

特徴1.現場にあった遺品はほぼ処分される

孤独死の現場では、一般的な遺品整理とは大きく異なり、遺品のほとんどが処分対象です。

主な理由は、遺体の腐敗臭が遺品に染み付いてしまうことにあります。

孤独死が発見されるまでに数日以上経過していることが多く、その間に遺体から発生する悪臭や雑菌が周囲の物品に浸透してしまいます。

この臭いは強く、一度染み付いてしまうと消臭が困難です。

また、遺体の腐敗過程で発生する細菌やウイルスが遺品に付着していることが多く、安全性を考慮して、多くの遺品を処分せざるを得ない状況となるのです。

特徴2.個人で遺品整理するのは難しい

孤独死の現場における遺品整理を個人で行うことは、困難であり、また危険を伴います。

前述の通り、現場には強烈な悪臭が漂っており、一般の人がその環境で作業を行うのは精神的にも肉体的にも大きな負担になるからです。

また、遺体の体液が床や家具に染み込んでいる可能性もあり、腐敗臭や有害物質を適切に除去するには、特殊な機材や洗浄剤が必要です。

中には貴重品や重要書類が含まれ、相続人全員の同意を得ないまま処分を進めると後々トラブルの原因ともなります。

3.孤独死したとき遺品整理を特殊清掃業者に依頼するべき2つの理由

業者

孤独死の現場における遺品整理は、一般的な片付けとは大きく異なります。

特殊な状況下で行われるため、専門的な知識と技術が必要となります。

そのため、遺品整理を特殊清掃業者に依頼することがおすすめです。

以下に、業者に依頼すべき2つの重要な理由を詳しく説明します。

  • 孤独死の清掃が難しいから
  • 腐敗臭で近所に迷惑がかかるから

以上の理由を理解することで、遺品整理の重要性と専門家への依頼の必要性がより明確になるでしょう。

理由1.孤独死の清掃が難しいから

孤独死の現場は特殊な状況にあるため、専門的な対応が必要です。

発見が遅れると、腐敗臭が部屋に充満し、体液も床や家具に染み込むことから素人が対処するのは難しいです。

また、賃貸物件では、部屋を元の状態に戻す必要があります。

通常の掃除では、血液や体液を完全に取り除けず、特殊な薬剤を使った徹底的な清掃が欠かせません。

孤独死の清掃は専門性が高く、心理的な負担も大きいため、特殊清掃業者に頼むことで安全かつ確実に現場を復旧できるのです。

理由2.腐敗臭で近所に迷惑がかかるから

孤独死の現場から出る腐敗臭は、想像以上に強く、広範囲に広がります。

そして、建物の骨組みや家具にまで染み込む可能性があり、長く残ります。

多くの場合、この異臭は近所の人が気づいて発見するほどで、普通の掃除や市販の消臭剤では取れません。

そのため、特殊清掃業者に頼んで臭いを取り除かないと、窓を開けてはいけないとされています。

上記のことから、早急に業者に依頼することで、近隣住民への影響を最小限に抑えましょう。

4.孤独死現場の遺品整理を業者に頼む際の費用はどれくらい?

費用

孤独死現場の遺品整理を業者に依頼する際の費用は、およそ20万円前後になることが多いですが、具体的な料金は以下の表を参考にしてください。

間取り作業人数作業時間相場
1K〜1R2〜5名2〜9時間80, 000〜280, 000円
1DK〜3LDK3〜7名4~7時間130, 000〜500, 000円
4LDK6〜9名10~24時間240, 000〜700, 000円

一般的に、部屋の広さ・遺品の量・作業人数・作業時間などが費用を左右する主な要因となります。

また、特殊清掃や消臭作業、遺品の仕分けや処分なども含まれることが多いです。

ただし、具体的な料金は現場の状況や業者によって異なるため、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

5.孤独死したとき遺品整理を特殊清掃業者に依頼する3つの流れ

業者

孤独死が発生した場合、遺品整理を特殊清掃業者に依頼することが重要です。

以下に、遺品整理を特殊清掃業者に依頼する際の主な流れを示します。

  • 業者を選定
  • 見積もり
  • 特殊清掃
  • 遺品整理

それでは、各段階について詳しく見ていきましょう。

流れ1.業者を選定

孤独死が発覚した場合、最初に行うべきは信頼できる特殊清掃業者の選定です。

孤独死の場合、発見までに数日以上経過していることが少なくありません。そのため、できるだけ早く業者を選定することが重要です。

業者を選ぶ際は、特殊清掃と遺品整理の両方を同時に依頼できる業者を探すことをおすすめします。

同じ業者に両方を依頼することで、別々の業者に頼むよりも費用を抑えられることが多いです。

また、一貫したサービスを受けられるため、作業の効率性も向上します。

流れ2.見積もり

業者を選定したら、次は見積もりです。

通常、業者は現地調査を行った後に詳細な見積もりを提示するため、並行して2〜3社から見積もりを取ることをおすすめします。

なぜなら、法外な料金を請求されていないかを確認できるほか、比較することで適正な価格範囲を把握し、必要に応じて料金交渉を行うこともできるからです。

また、孤独死の現場から離れた場所に住んでいて、すぐに現地に行けない場合でも心配いりません。

多くの業者は、鍵だけ預かって立ち会いなしで現地調査を行うことができます。

流れ3.特殊清掃

見積もりに問題がなければ、契約を締結し、次は特殊清掃です。

特殊清掃の所要時間は、現場の状況によって大きく異なります。

比較的軽度な場合は数時間で終わることもありますが、汚染が深刻な場合は数日を要することもあります。

特殊清掃の作業は、以下の通りです。

  1. 体液や血液の除去
  2. 残置物の撤去
  3. 徹底的な除菌
  4. 消臭処理

さらに、相続人や親族の要望に応じて、原状回復作業を行うこともあります。

壁紙や床の張り替えなど、物件を管理者に引き渡せる状態まで修復やリフォームを行うこともできます。

流れ4.遺品整理

特殊清掃が完了したら業者と相続人や親族が協力し、最後の段階である遺品整理に移ります。

しかし、孤独死の現場にあった遺品については、特別な注意が必要です。

多くの場合、遺品には腐敗臭や体液が染み込んでいるため、残念ながらほとんどの物を手元に残すことはできません

もし残したい遺品が見つかった場合は、汚損や損傷がないか慎重に確認する必要があります。

また、金銭的価値のある遺品については、買い取りサービスを提供している業者であれば、買い取ってもらい、作業費用から差し引いてもらうこともできます。

6.孤独死の遺品整理における4つの注意点

注意点

遺族や関係者の方が心身ともに安全に、そして適切に遺品整理を進めるために、以下の注意点を4つ押さえておくことが大切です。

  • 業者の作業が完了するまで現場に入らない
  • 勝手に窓を開けてはいけない
  • 勝手にお風呂の水を流してはいけない
  • 手袋やマスクを装着する

上記の注意点を守ることで、遺品整理の過程でのリスクを最小限に抑え、適切に作業を進めることができます。

それでは、各注意点について詳しく見ていきましょう。

注意点1.業者の作業が完了するまで現場に入らない

孤独死の現場は、特殊清掃業者の作業が完了するまで、決して現場に立ち入らないようにしましょう。

遺体から発生する腐敗臭は、単に不快なだけでなく、体調を著しく悪化させる可能性があります。

また、体液や血液に接触することで、感染症のリスクもあります。

加えて、故人の孤独死の現場を直接目にすることで光景が脳裏に焼き付き、後々までフラッシュバックに苦しむ原因となりかねません。

注意点2.勝手に窓を開けてはいけない

孤独死の現場では、強烈な腐敗臭が部屋に充満していることがほとんどです。

換気するために窓を開けることは、自然な行為かもしれませんが、孤独死の現場では絶対にやめてください

なぜなら、窓を開けることで強烈な異臭が外部に漏れ、近隣住民に多大な迷惑をかけることになるからです。同様の理由で、換気扇を回すのも避けてください。

例えば、窓を開けたことで近所の洗濯物に臭いが付着したり、害虫被害が発生した場合、苦情を受けるだけでなく、損害賠償を求められる事態に発展する可能性もあります。

必ず業者の指示に従い、許可があるまで窓を閉めたままにしましょう。

注意点3.勝手にお風呂の水を流してはいけない

お風呂場で孤独死が発生した場合、勝手にお風呂の水を流してはいけません。

浴槽の水を流したくなるかもしれませんが、お風呂の水を流すと深刻な問題を引き起こす可能性があります。

まず、遺体が既に現場から搬出されていたとしても、浴槽内には目に見えない遺体の一部が残っている可能性が高いです。

例えば、腐敗した皮膚や髪の毛、さらには骨の破片などが残っていることがあります。

無造作に排水すると、排水溝の詰まりや、下水道に遺体の一部が流出するなど、法的な問題にも発展しかねません。

たとえ善意からの行動であっても、専門家の許可なく勝手に行動することは避け、常に業者の指示に従うことが最善の対応策です。

注意点4.手袋やマスクを装着する

孤独死の現場での遺品整理は、通常の整理作業とは全く異なる性質を持っており、手袋とマスクの着用が極めて重要です。

孤独死の現場に残された遺品には、目に見えない体液や雑菌が付着しているためです。

直接触れることは、深刻な感染症のリスクを伴います。

また、現場特有の腐敗臭は単に不快なだけでなく、吸い込むことで体調を崩す原因にもなり得ます。

空気中に浮遊する雑菌やウイルスから身を守る上でも、マスクは効果的です。

防護措置を「面倒」と考えるのではなく、自身の健康と安全を守るための必要不可欠な手段として捉えましょう。

7.孤独死現場の遺品整理を依頼する業者の選び方

孤独死の遺品整理は、通常の遺品整理とは異なる特殊な対応が必要です。

以下に、孤独死現場の遺品整理を依頼する際に押さえたい業者選びのポイントを4つ紹介します。

  • 特殊清掃の専門であるところ
  • 実績が豊富にあるところ
  • 遺品の分類ができるところ
  • 遺品の消臭もできるところ

以上4つの選び方を詳しく見ていきましょう。

選び方1.特殊清掃の専門であるところ

孤独死の現場では、単なる遺品整理以上の専門的な対応が求められることから、「特殊清掃の専門」業者を選ぶことが極めて重要です。

専門家であれば防護服を着用し、専用の薬剤や機器を使用して、近隣住民への配慮を怠らず、入念な確認作業を繰り返し行えます

また、一般の遺品整理業者や廃品回収業者では、悪臭や害虫・害獣の拡散リスクがあり、大切な遺品まで処分されてしまうことも少なくありません。

経験が不足しているため、作業員や遺族、近隣住民に感染症のリスクを負わせる恐れもあります。

孤独死の現場では、特殊清掃の専門知識と経験を持つ業者を選ぶことが、安全で適切な遺品整理の鍵です。

選び方2.実績が豊富にあるところ

孤独死現場の特殊清掃では、腐敗臭や体液の完全な除去が求められるため、実績豊富なところを選びましょう。

難しい作業を確実に行える業者は、口コミで広まり、多くの実績を積み重ねていきます。つまり、豊富な実績は、業者の技術力と信頼性の証といえるでしょう。

一般の遺品整理業者では特殊清掃の経験が限られ、孤独死現場特有の問題に適切に対応できない可能性があります。

一方、経験豊富な特殊清掃業者は、現場での柔軟な対応力も高く、見積もりや作業中の相談にも的確に応じることができます。

選び方3.遺品の分類ができるところ

遺品の分類ができるところを選ぶことも重要です。

孤独死の現場では、多くの遺品を処分せざるを得ない状況が多いですが、すべての遺品を処分するのは本意ではないはずです。

遺品の中には、故人や遺族にとって大切な思い出の品や価値のあるものが含まれていることもあります。

適切な遺品の分類ができる業者は、相続人や親族の気持ちに寄り添い、大切なものを分別し、保存する努力をするのです。

また、後々の法的トラブルを防ぐためにも廃棄物を適切に分別し、法令に従った処理や手続きを行います。

選び方4.遺品の除菌・消臭もできるところ

遺品の除菌・消臭もできるところを選びましょう。

孤独死の現場では、遺品に腐敗臭が染み付いています。

しかし、中には思い出の品や価値のある品もあり、簡単に処分したくないものもあると思います

そのような場合、遺品の消臭ができる業者を選び、腐敗臭のついた遺品でも可能な限り除菌・消臭処理を行い、大切な思い出の品を手元に残しましょう。

そのため、残したい遺品がある場合、事前に業者と相談し、除菌・消臭できるかを確認してください。

孤独死の遺品整理は個人では難しいので業者に依頼しましょう

孤独死の遺品整理は、一般的な遺品整理とは大きく異なる特殊な状況で、個人で対応しようとすると、多くの困難や危険に直面することが多いです。

例えば、腐敗臭や有害物質の処理、衛生管理など、専門的な知識と経験が不可欠です。

故人との思い出が詰まった場所で作業を行うことは、精神的にも大きなストレスとなるでしょう。

加えて、法的な手続きや近隣住民への配慮など、考慮すべき点も多岐にわたります。

そのため、孤独死の遺品整理は、専門業者に依頼することで、安全かつ確実に行いましょう。

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