認知症がゴミ屋敷に関係する?ゴミ屋敷を防ぐ方法や相談できる場所を紹介

「最近、家族の部屋がゴミだらけになってきた」
「物を捨てられなくなってきた」
「認知症の症状が出始めてから、家の中が片付かなくなった」
以上のような悩みを抱えていませんか?
実は、認知機能の低下によって物の整理や判断が難しくなり、徐々にゴミ屋敷化していくケースは少なくありません。
本記事では、認知症とゴミ屋敷の関係性を詳しく解説するとともに、予防方法や具体的な対処法、相談先までを分かりやすくお伝えします。
「認知症の家族の部屋が気になる」「将来ゴミ屋敷化することが心配」という方は、ぜひ最後までご一読ください。
早めの対策で、大切な家族の暮らしを守ることができます。
1.認知症がゴミ屋敷に関係する5つの要因
認知症の症状が進行すると、さまざまな要因が重なってゴミ屋敷化が進んでいきます。
中でも以下の5つの要因が、認知症によるゴミ屋敷化の主な原因です。
- 認知機能の低下
- 身体機能の衰え
- 判断能力の低下
- 見当識障害
- 一人暮らしによる社会的孤立
以上の5つの要因をそれぞれ解説します。
要因1.認知機能の低下
認知症がゴミ屋敷に関係する要因の1つは、認知機能の低下です。
認知機能が低下すると、ゴミを捨てることやゴミを分別することなどの今までできていた行為を忘れてしまうため、ゴミを捨てられず溜めてしまいます。
特に、可燃ゴミと不燃ゴミの区別がつかなくなったり、リサイクル品の分別ができなくなったりすることが多いです。
また、認知機能の低下により、ゴミを捨てる必要性自体を理解できなくなることもあります。
以上のような状態が続くと、徐々にゴミが積み重なり、気づいたときには部屋中がゴミで溢れかえっている状態になるのです。
要因2.身体機能の衰え
身体機能の衰えもゴミ屋敷になる要因の1つです。
認知症患者の中には歩行障害が見られ、ゴミ出しができなかったり、ゴミを整理する動作ができなかったりします。
特に高齢者の場合、重いゴミ袋を持ち上げることが困難になったり、階段の上り下りが怖くなったりすることで、ゴミ出しを避けやすいです。
さらに、腰痛や関節痛などの身体的な不調により、掃除や整理整頓の作業自体が負担となることも少なくありません。
要因3.判断能力の低下
判断能力の低下もゴミ屋敷化の原因です。
そのため、家の中がゴミで散らかっていても、ゴミかどうか判断できなかったり、片付け方や捨て方がわからなかったりします。
結果、わからないまま過ごしているうちに、いつの間にかゴミ屋敷になってしまうのです。
例えば、使用済みの包装紙や空き箱が「まだ使えるかもしれない」と判断し、捨てずに保管することがあります。
以上のような判断能力の低下は、不要なものを溜め込む原因となり、結果としてゴミ屋敷化を進行させるのです。
要因4.見当識障害
見当識障害も認知症によるゴミ屋敷の要因の1つになります。
見当識障害とは、時間や場所などを正確に理解できなくなる症状のことです。
認知症の中でも現れやすい症状の1つで、日にちや曜日の感覚がわからなくなり、ゴミ出しができなくなります。
例えば、「今日は何曜日なのか」「ゴミの収集日はいつなのか」といった基本的な時間の認識が困難です。
また、季節感も失われることで、季節外れの衣類や物品を処分できずに溜め込んでしまうこともあります。
見当識障害は、日常生活のリズムを大きく乱す要因となり、結果的にゴミの管理も難しい状態になるのです。
要因5.一人暮らしの社会的孤立
認知症がゴミ屋敷に関係する要因の1つは、一人暮らしによる社会的孤立です。
人と会う機会が減ると、脳は萎縮し、認知症の症状が進行します。
この社会的孤立から認知症の症状が進行し、部屋の中を片付けられずゴミ屋敷化するのです。
もし、親が一人暮らしで日ごろから孤独を感じている場合、認知症が悪化することでゴミ屋敷化に発展する可能性があります。
特に、配偶者との死別後や退職後に社会との接点が急激に減少することで、生活習慣が乱れやすいです。
また、周囲の目がないことで、部屋の状態が悪化していても気づかれにくく、問題が深刻化しやすい環境になってしまいます。
2.認知症によるゴミ屋敷を防ぐ3つの方法
認知症によるゴミ屋敷化を防ぐためには、早期からの適切な対応が重要です。
具体的な方法として、以下の3つが挙げられます。
- 片づけを手伝う:本人の自尊心に配慮しながら、一緒に整理整頓を行う
- 本人も片づけてもらう:できる範囲で自立した生活を維持する
- 介護サービスを使う:専門家による定期的なサポートを受ける
本人の尊厳を守りながら、周囲のサポートを組み合わせることで、ゴミ屋敷化を効果的に予防できます。
方法1.片づけを手伝う
ゴミ屋敷を防ぐには、家族や周囲の人が片づけを手伝うことが効果的です。
一緒に片づけることで、本人の心身の負担を軽減しながら、達成感や自信を持ってもらうことができます。
片づけを手伝う際は「驚かせない」「急かさない」「自尊心を傷つけない」という3つの「ない」を意識することが大切です。
認知症の方は誰よりも不安を抱えているため、これらに配慮することで症状が落ち着き、周囲との良好な関係を築けます。
また、頻繁に顔を出して片づけを手伝うことは、社会的孤立を防ぐのに効果的です。
コミュニケーションを取りながら整理整頓を進めることで、心身ともに健康的な生活環境を維持しましょう。
方法2.本人も片づけてもらう
認知症の方のゴミ屋敷を片づけるには、本人も片づけることも重要です。
実際に、施設入所によって認知症が進行するケースもあることから、できる限り自立した生活を送れるよう支援することが望ましいです。
本人に片づけてもらう際は、無理のない範囲で少しずつ進めます。
例えば、軽い物を運んでもらったり、簡単な分別作業を任せたりするところから始めると良いでしょう。
ただし、完全な自立は難しいため、周囲の支援は必要不可欠です。
定期的に様子を確認し、必要に応じてサポートを行うことで、ゴミ屋敷化を防ぐことができます。
方法3.介護サービスを使う
介護サービスの利用は、ゴミ屋敷化を防ぐ効果的な方法の1つです。
訪問介護では、専門的な知識を持つホームヘルパーが定期的に訪問し、部屋の掃除を手伝ってくれます。
特に大切なのは、このサービスには介護保険が適用されるという点です。
経済的な負担を抑えながら、専門家による定期的なサポートを受けられます。
サービスの利用を検討する際は、地域の介護支援専門員に相談し、本人の状態や生活環境に合わせた適切なプランを立てることがおすすめです。
ヘルパーにどこまでの作業を依頼できるのか、どのような支援が必要なのかを具体的に相談してみましょう。
3.認知症によってゴミ屋敷化した家を片づける4つの方法
認知症によってゴミ屋敷化した家を片づけるには、適切な方法で進めることが重要です。
以下の4つの方法を状況に応じて組み合わせることで、効果的な片づけができます。
- 本人の話をじっくり聞いて気持ちに寄り添う
- ゴミの日を適切なタイミングで伝える
- 自治体に相談して支援を受ける
- 専門業者に依頼して短期間で解決する
一方的な片づけは本人の不安や混乱を招く可能性があります。
ぜひ参考にして、片付けをはじめてみてください。
方法1.本人の話を聞く
認知症の方がゴミ屋敷状態になってしまった場合、まず本人の話を聞くことが大切です。
孤独感や不安から物を捨てられなくなっているケースも少なくありません。
このとき、一方的な片づけは逆効果になります。
本人が一番不安を感じているのは認知症という病気についてかもしれません。
定期的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで、片づけの協力も得やすくなります。
本人の思い出の品と単なるゴミの区別も、話を聞くことで明確になっていくはずです。
方法2.ゴミの日を伝える
ゴミ出しのタイミングを適切に伝えることも対策として重要です。
収集日当日に電話で知らせるなど、シンプルな方法でコミュニケーションを取りましょう。
カレンダーにメモを書き込んだり、複雑な説明書きを残したりすることは避けるべきです。
情報が多すぎると混乱の原因になってしまいます。
できれば、ゴミ出しに同行して一緒に行動するのが理想的です。
この時間を使って会話を楽しむことで、自然な形での支援も可能になります。
方法3.自治体に相談する
多くの自治体では、ゴミ屋敷対策の相談窓口を設けていて、中にはゴミ屋敷条例を制定している自治体もあり、具体的な支援策を提案してくれます。
相談することで、利用可能な福祉サービスや支援制度について詳しい情報を得ることができるでしょう。
ただし、実際の片づけ作業は家族が中心となって行う必要があります。
自治体のサポートはあくまでも補助的なものだということを理解しておきましょう。
方法4.業者に依頼する
自力での片づけが難しい場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。
特に害虫や異臭が発生している場合は、早急な対応が必要です。
プロの業者は、単なる片づけだけでなく、害虫駆除や除菌、大型ゴミの処分まで一括して対応してくれます。
短期間で効果的な改善が期待できるのが特徴です。
費用は必要になりますが、深刻な状態のゴミ屋敷を改善するには、専門家の力を借りることが賢明な選択でしょう。
4.認知症によるゴミ屋敷を相談できる4つの場所
認知症によるゴミ屋敷の問題は、1人で抱え込まずに早めに相談することが大切です。
相談できる主な場所として、以下の4つがあります。
- 地域包括支援センター
- 医療機関
- 社会福祉協議会
- 家族・親族
上記の4つをそれぞれ紹介します。
場所1.地域包括支援センター
地域包括支援センターは、自治体が設置している高齢者向けの総合相談窓口です。
全国に7000ヶ所以上設置されており、誰でも無料で相談できます。
センターには、ケアマネージャーや保健師、社会福祉士などの専門家が常駐しています。
認知症によるゴミ屋敷の問題でも、具体的な解決策を提案してくれて、必要に応じて介護サービスの紹介や関係機関との連携も行ってくれるでしょう。
場所2.医療機関
認知症の疑いがある場合や症状が進行している可能性を感じたら、医療機関の受診をおすすめします。
ゴミ屋敷の状態は、認知症以外の病気が原因である可能性もあるためです。
医療機関では、なぜ片付けができないのか、その原因を専門的に調べます。
認知症を早期に発見することで、治療効果を高め、自立した生活を長く続けられる可能性を広げられるはずです。
また、早期に発見することで、介護の準備も計画的に進めることができます。
場所3.社会福祉協議会
社会福祉協議会は、社会福祉法に基づいて設立された非営利の民間福祉団体です。
地域包括支援センターと同様の支援を受けられますが、高齢者に限らず幅広い年齢層の相談に対応してくれます。
また、地域のボランティア活動とも連携しており、必要に応じて支援の手配もしてくれるでしょう。
加えて、専門的な知識を持つ職員が常駐しているため、ゴミ屋敷の問題に対しても具体的なアドバイスを得られます。
場所4.家族・親族
家族や親族は、最も身近な相談相手であり支援者になります。
認知症によるゴミ屋敷の問題は、一人で解決するのは困難です。
家族や親族と対話を重ねることで、具体的な支援の方法を見つけることができます。
直接的な介護が難しい場合でも、定期的な片付けの手伝いなど、できる範囲での協力もお願いできるでしょう。
公的機関からの支援が得られない場合もあるため、家族や親族との協力関係を築くことは重要です。
特に軽度の認知症や深刻でないゴミ屋敷の場合は、家族間での支援体制を整えることも必要になります。
5.認知症を患っていてもゴミ屋敷を再発させない支援が重要
認知症によるゴミ屋敷の問題で最も大切なのは、再発を防ぐための継続的な支援体制を整えることです。
一度片付けても、適切なサポートがなければ再びゴミ屋敷化してしまう可能性があります。
認知症は進行性の病気であるため、ゴミ屋敷になるリスクは常にあり、家族や親族が本人の状態をしっかりと理解し、病気と向き合う姿勢が必要不可欠です。
また、認知症の程度によって、支援の方法を適切に選びましょう。
軽度の認知症の場合は、定期的な訪問や声かけを行い、日常生活の様子を確認することで、ゴミの溜め込みを未然に防げます。
家族や親族で当番制を組んで、誰かが必ず様子を見に行けるような体制を整えましょう。
一方、重度の認知症の場合は、在宅での生活が本人にとって危険を伴う可能性もあるので、介護施設への入所を検討することも、考えてください。
地域の介護サービスや医療機関とも連携しながら、長期的な視点で支援体制を構築していくことが望ましいでしょう。
6.認知症によるゴミ屋敷は家族で積極的にコミュニケーションをとりましょう。
認知症によるゴミ屋敷の問題は、本人だけでなく家族全体で向き合うべき課題です。
認知機能の低下や判断能力の衰えによって、徐々にゴミ屋敷化も進行していくことを、ご家族の皆様はしっかりと理解しておく必要があります。
早期発見と予防的な対応が重要であり、定期的な声かけや訪問を通じて、本人の生活状況を把握することも大切です。
また、本人の気持ちに寄り添いながら、できることから少しずつ片付けを進めるアプローチもとってみてください。
定期的な声かけやコミュニケーションを通じて、再発を防ぐための支援体制を整えていきましょう。