親が孤独死してしまったら?行うべきことと流れを解説

親が孤独死してしまったら?行うべきことと流れを解説

親の孤独死という現実に直面したとき、多くの方は「警察や葬儀社への連絡、遺品整理など、何から手をつければいいのか」「相続の手続きはどうすればいいのか」といった悩みに直面し途方に暮れてしまうでしょう。

特に発見が遅れた場合、特殊清掃や原状回復が必要になることもあり、精神的な負担に加えて、予期せぬ費用負担が発生するケースも少なくありません。

しかし、このような状況でも適切な対応手順を知っていれば、必要な手続きを着実に進めることができます。

そこで本記事では親の孤独死が発生した際の具体的な対応手順から相続に関する重要な注意点、さらには予防のための方策まで実践的な情報をわかりやすく解説します。

突然の出来事に戸惑われている方や、将来に備えて知識を得たいとお考えの方は、ぜひ最後までご一読ください。

1.親が孤独死した事実をすぐに受け入れられる人は少ない

親が孤独死した事実をすぐに受け入れられる人は少ない

親の孤独死を突然知らされたとき、多くの人は現実を受け入れることができません。

回孤独死原状レポートによると孤独死における平均年齢は男性62.5歳、女性61.4歳と、平均寿命と比べてかなり若い年齢で亡くなるケースが多いため、突然の別れに戸惑いと後悔の念に襲われることでしょう。

「もっと頻繁に連絡を取っていれば」「近くに住んでいれば」と自分を責めてしまう方も少なくありません。

しかし、こうした感情に囚われすぎてしまうと、その後の必要な手続きに支障をきたす恐れがあります。

親の孤独死後には、警察への対応・死亡届の提出・葬儀の手配・特殊清掃の依頼・遺品整理など、さまざまな手続きが待ち受けています。

すべてを1人で抱え込もうとすると、精神的にも体力的にも大きな負担がかかってしまうため、まずは親族や信頼できる友人に協力を仰ぎ、できる限り分担して対応しましょう。

2.親が孤独死してからすぐにやるべきことの流れ

親が孤独死してからすぐにやるべきことの流れ

親の孤独死が発覚してから、遺族はさまざまな手続きに追われることになります。

  1. 孤独死現場の発見
  2. 警察による現場検証
  3. 遺族への連絡
  4. 死亡時の説明
  5. 相続人の特定
  6. 各業者の選定・申し込み
  7. 死亡届・埋火葬許可証申請の提出
  8. 葬儀
  9. 特殊清掃
  10. 各種契約の変更・解約手続き
  11. 遺品整理

下記にて、それぞれの流れについて解説します。

流れ1.孤独死現場の発見

回孤独死原状レポートによると、孤独死の発見者は不動産管理会社やオーナーなど職業上の関係者が全体の51%を占めています

具体的には、家賃滞納や郵便物の溜まり具合、異臭などを不審に感じた管理会社が発見するケースなどが一例です。

次いで親族や友人による発見が37.1%となっており、普段の連絡が途絶えたことをきっかけに発見されることもあります。

発見者は警察に通報し、警察官が現場に急行します。

流れ2.警察による現場検証

警察官が現場に到着すると、死亡の状況や原因を調べる検視が行われます。

検視は、外傷の有無や室内の状況、生活痕などから事件性がないかを確認するものです。

また、亡くなってからの経過時間や死因についても調査が行われ、検視の結果は検案書として作成されます。

流れ3.遺族への連絡

現場検証が終了すると、警察から遺族に連絡が入ります。

この時、死亡が確認された日時や発見時の状況、死因について説明があります

遺族は混乱した状態かもしれませんが、警察からの説明をしっかりと聞き、必要な情報をメモしておくことが重要です。

流れ4.死亡時の説明

遺族は警察署に出向き、遺体の身元確認を行います。

この際、死亡時の状況や検視の結果について詳しい説明を受けることが可能です。

また、検案書の内容確認や、今後の手続きについての説明も行われます。

必要書類の受け取りも行うため、身分証明書を持参しましょう

流れ5.相続人の特定

親の死亡により相続が開始されるため、法定相続人を確定する必要があります。

戸籍謄本を取得して法定相続人を確認し、遺言書の有無を調べてください

相続人が複数いる場合は、早めに連絡を取り合い、今後の手続きについて話し合うことが重要です。

流れ6.各業者の選定・申し込み

次に、葬儀社、特殊清掃業者、遺品整理業者の選定・申し込みを行います

特に孤独死の場合は特殊清掃が必要となるため、実績のある業者を慎重に選びましょう。

見積もりを複数取り、料金や作業内容を比較検討してください。

なお賃貸物件の場合は、管理会社に相談すると業者を紹介してもらえることもあります。

流れ7.死亡届・埋火葬許可証申請の提出

死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡届を市区町村に提出する必要があります。

死亡届と同時に埋火葬許可証の申請も行ってください

死亡届の提出には、医師による死亡診断書または死体検案書が必要です。

提出は親族や同居者であれば行うことができます。

流れ8.葬儀

葬儀の規模や形式を決定し、執り行います

近年は家族葬や直葬など簡素化する傾向にありますが、親族間で意思を確認し、相談して決めてください。

また、参列者への連絡も忘れずに行いましょう。

流れ9.特殊清掃

床や壁の消毒・除菌、臭気除去、必要に応じて床材の張り替えなど、孤独死現場の特殊清掃が実施されます

平均的な費用は30万円程度ですが、発見までの期間や汚染状況によって変動します。

孤独死保険に加入している場合は、保険金での対応も可能です。

流れ10.各種契約の変更・解約手続き

年金の停止手続き、住民票の抹消、世帯主の変更、公共料金の解約や名義変更など、各種手続きを行います。

手続き先は多岐にわたるため、リストを作成して漏れがないよう確認しながら進めましょう。

流れ11.遺品整理

最後に遺品の整理を行います。

思い出の品と処分するものを仕分けし、必要に応じて遺品整理業者に依頼してください。

相続人が複数いる場合は、だれがどの遺品を引き取るか話し合いましょう。

この手続きが一段落したら、次は遺産の相続手続きに移ります。

相続を行うか放棄するかの判断も含めて、次章で詳しく見ていきましょう。

3.親の遺産を相続する人が行うこと

親の遺産を相続する人が行うこと

親の孤独死後の遺産相続では、以下のようにさまざまな手続きや判断が必要になります

  1. 住居の後処理を行う
  2. 相続人が2人以上いるなら遺産分割協議書を作成する

この手続きは専門的な知識が必要なため、司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

なお、相続を放棄する選択肢もありますが、その場合は次に説明する注意点があるため、必ずご確認ください。

行うこと1.住居の後処理を行う

親の孤独死後、遺品整理が完了しても住居の後処理という重要な課題が残ります。

対応方法は賃貸か持ち家かで大きく異なります。

賃貸の場合は、まず大家さんへ退去の意向を伝え、解約手続きを進めなければなりません。

特に孤独死の場合、原状回復費用が通常より高額になる可能性があるため、事前に見積もりを取得することをおすすめします

また、残された家財道具の処分も必要です。

持ち家の場合の選択肢としては以下のとおりです。

  1. 相続人が居住する
  2. 賃貸物件として運用する
  3. 売却する

特に売却を検討する場合は、不動産業者に相談し、物件の価値評価や市場動向を確認しましょう。

行うこと2.相続人が2人以上いるなら遺産分割協議書を作成する

相続人が複数いる場合、遺産分割を円滑に進めるために遺産分割協議書の作成が必要不可欠です。

この書類は、だれがどの財産を相続するのかを明確に定めた法的な合意文書です。

作成手順は以下のとおりです。

  1. 相続財産の調査と評価
  2. 相続人全員での話し合い
  3. 合意内容の文書化
  4. 各相続人の実印での押印
  5. 印鑑証明書の添付

特に孤独死のケースでは、相続人間で感情的な対立が生じやすいため、早い段階から話し合いを始めることが重要です。

必要に応じて弁護士などの専門家に介入してもらい、中立的な立場から調整を依頼しましょう。

なお、この協議書は不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、各種相続手続きに必要です。

4.親の遺産を相続放棄する人が知っておくべき注意点

親の遺産を相続放棄する人が知っておくべき注意点

親の孤独死後、借金などの理由で遺産の相続を放棄する場合、以下の重要な注意点を把握しておく必要があります。

  1. 相続開始から3か月以内に相続放棄の届出を行う必要がある
  2. 相続放棄後に手続きに関与することはできない

この注意点を見落としてしまうと、意図せず相続を承認したとみなされたり、放棄が無効になったりするため、注意しましょう。

注意点1.相続開始から3か月以内に相続放棄の届出を行う必要がある

相続放棄は、親の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出する必要があります。

この期限を過ぎてしまうと、自動的に相続を「単純承認」したとみなされ、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことになってしまいます。

特に親が孤独死した場合、発見が遅れることで相続開始時期も分かりにくいため、できるだけ早めに相続放棄の手続きを進めてください。

ただし相続放棄は一度行うと取り消すことができないため、慎重に判断する必要があります。

注意点2.相続放棄後に手続きに関与することはできない

相続放棄を行うと、その時点で相続人としての権利を完全に失います。

遺産分割協議への参加や、遺品整理、住居の処理など、相続に関するあらゆる手続きに関与できなくなるということです。

たとえ親の孤独死による現場の片付けや遺品整理であっても、相続放棄後に財産の管理や処分に関与してしまうと、相続放棄が無効とみなされることもあります。

そのため、相続放棄を選ぶ場合は、他の相続人と事前によく相談し、役割分担を明確にしておきましょう。

5.孤独死を防ぐための対策方法

孤独死を防ぐための対策方法

親の孤独死後には、大きな苦しみが伴うものです。

そのため、早い段階から具体的な対策を講じましょう

以下の3つの方法を状況に応じて組み合わせることで、効果的な見守り体制を構築できます。

  • 定期的に連絡をとる
  • 見守りサービスを使う
  • 施設に入居する

それぞれについて以下で詳しく説明します。

方法1.定期的に連絡をとる

親との定期的な連絡は、孤独死を防ぐためのもっとも基本的かつ重要な対策です。

電話やビデオ通話を活用し、最低でも週に1~2回は会話の機会を設けましょう。

大切なのは、決まった時間に連絡を取り合う習慣を作ることです。

例えば「毎週日曜日の午前中に電話をする」といったルーティンを確立することで、親も連絡を待ち望むようになり、生活リズムの維持にもつながります。

万が一の異変にも素早く気づくことができ、早期発見・対応が可能です。

方法2.見守りサービスを使う

見守りサービスは、テクノロジーを活用して親の安全を24時間体制で見守る有効な手段です。

センサー型サービスでは、居室内の動きを検知し、普段と異なる行動パターンがあれば即座に家族に通知されます。

また、定期訪問型サービスでは、専門スタッフが週に数回訪問して健康状態や生活環境の確認が可能です。

さらに、見守り機能付きの家電製品も便利です。

電気ポットや冷蔵庫の使用状況をモニタリングすることで、日常生活の様子を把握できます。

方法3.施設に入居する

施設入居は、24時間体制の見守りと専門的なケアを受けられるもっとも確実な選択肢です。

介護付き有料老人ホームでは、医療スタッフが常駐し、緊急時にも迅速な対応が可能です。

サービス付き高齢者向け住宅は、自立した生活を維持しながら必要に応じてサポートを受けられる中間的な選択肢となります。

特別養護老人ホームは、要介護度が高い場合に適していますが、入居待ちが長期化する傾向にあります。

施設選びの際は、親の健康状態や経済状況、希望する生活スタイルを考慮し、早めに検討を始めることが重要です。

施設見学や体験入居を利用して、実際の雰囲気を確認することをおすすめします。

6.親が孤独死してしまったら協力して各種手続きを進めましょう

親の孤独死は、残された家族にとって大きな精神的ショックを与えるだけでなく、多岐にわたる手続きが必要となる重大な出来事です。

特に発見が遅れた場合、特殊清掃や原状回復など、通常の死亡時には発生しない作業も加わってくるため、相続人が複数いる場合は、できる限り協力して対応することが望ましいでしょう。

例えば、警察への対応や死亡届の提出は一人が担当し、別の人が特殊清掃業者との打ち合わせを行うなど、役割分担をすることで効率的に進められます

また、相続手続きをスムーズに進めるためには、専門家のサポートを積極的に活用することも重要です。

さらに、今後同じような事態を防ぐためにも、残された家族同士で定期的な連絡を取り合う習慣をつけることが大切です。

見守りサービスの利用や施設入居の検討など、予防的な対策を家族で話し合っておくことも有効でしょう。

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