特殊清掃とは?作業内容や費用相場、業者選びのポイントなどを解説

特殊清掃とは?作業内容や費用相場、業者選びのポイントなどを解説

特殊清掃とは、孤独死や事故現場など一般的な清掃業者では対応できない状況に陥ったときに必要となる作業です。

また事故現場の処理、ゴミ屋敷の片付けなど、専門的な知識と技術が必要な清掃作業全般を含みます。

しかし「どのような作業が必要になるのか」「どのような業者を選べばいいのか」「悪徳な業者に引っかかってしまわないか心配」などの疑問や不安を持つ人も少なくないでしょう。

そこで本記事では、特殊清掃の具体的な内容から、信頼できる業者の選び方、費用の相場まで詳しく解説します。

特に、初めて特殊清掃を依頼する人や突然の出来事で困惑されている人は、ぜひ最後までご一読ください。

1.特殊清掃とは?

特殊清掃とは?

特殊清掃とは、一般的な清掃業者では対応できない特殊な状況下での清掃や原状回復を行う専門的なサービスのことです。

具体的には、孤独死や事件現場、重度の汚染が発生した場所などで必要となる清掃作業を指します。

特殊清掃の主な作業内容には、血液や体液による汚染の除去、強い臭気の除去、害虫の駆除などが含まれます。

この作業には、専門的な知識や技術、特殊な機材が必須となるため、必ず経験豊富な専門業者への依頼が必要です。

特殊清掃は、人体に有害な物質を扱うことも多いため、専門業者は防護服や専用マスクなどの装備を使用し、厳格な安全基準にしたがって作業を実施します。

このように特殊清掃は、素人が自力で行うことが困難な作業を、高度な専門性や技術力を駆使して細心の注意を払いながら実施される清掃サービスなのです。

2.特殊清掃が必要になるケースとその作業内容を紹介

特殊清掃が必要になるケースとその作業内容を紹介

特殊清掃は、以下のように一般的な清掃では対応できない深刻な汚染や被害が発生した場合に必要な作業です。

  • 孤独死があった部屋
  • 事件や自殺があった部屋
  • ゴミ屋敷状態の部屋
  • 火災現場となった建物

それぞれのケースについて、具体的な作業内容とともに詳しく見ていきましょう。

ケース1.孤独死があった部屋

孤独死現場では、遺体の腐敗による二次被害を防ぐために迅速な対応が必要です。

特に発見が遅れた場合、体液が床材や壁に深く染み込み、強い腐敗臭が発生している状態となっています。

このような場合の特殊清掃作業は大きくわけて3段階で行われるのが一般的です。

まず、床材やマットレスなどに染み込んだ体液を専用の薬剤で除去し、状況に応じて床材や壁紙の撤去も必要です。

次にオゾン発生器や特殊消臭剤を使用して腐敗臭を徹底的に除去します。

最後に、腐敗によって発生したハエやウジなどの害虫を駆除し、再発防止のための処置を施します。

特に体液が染み込んだ箇所は、見た目以上に広範囲に及んでいることが多いため、専門家による適切な判断と処置が不可欠です。

ケース2.事件や自殺があった部屋

事件や自殺現場の特殊清掃では、血液や体液による汚染の除去が主な作業となります。

血液や体液は時間の経過とともに固着し、一般的な清掃では除去が困難になるためです。

特に血液は壁や床に強く固着する性質があるため、専用の薬剤を使用して丁寧に除去します。

また、感染症のリスクを防ぐため、現場全体の徹底的な除菌作業が実施されることが一般的です。

さらに、乾燥した血液や体液から発生する特有の臭気に対しては、消臭装置が使用されることもあります。

作業完了後は、部屋を衛生的で安全な状態に復旧させ、次の入居者が安心して使用できる環境が整えられます。

ケース3.ゴミ屋敷状態の部屋

ゴミ屋敷の特殊清掃では、単なるゴミの撤去だけでなく、衛生環境の回復まで含めた総合的な対応が必要です。

長期間放置された大量のゴミは、衛生的に深刻な問題を引き起こしている場合がほとんどです。

作業は、まず膨大な量のゴミを可燃物、不燃物、リサイクル可能なものに分別することから始まり、分別後は法令にしたがって適切に処分を行います。

必要に応じて害虫除去や長年蓄積された生活臭や腐敗臭の除去作業、床材や壁紙の張り替え、ハウスクリーニングなども行われます。

ケース4.火災現場となった建物

火災現場の特殊清掃では、目に見える被害だけでなく、目に見えない被害への対応も重要です。

煤や煙の被害は建物全体におよび、その影響は予想以上に深刻なため、専門的な作業が必要になります。

作業の第一段階では、壁や天井、床に付着した煤や焦げを専門機材を使用して徹底的に除去します。

特に煤は微細な粒子として建材の奥深くまで入り込むため、高度な技術と経験が必要です。

続いて、建物全体に染み付いた煙の臭いを特殊な薬剤や機材を使用して除去します。

また、消火活動で水浸しになった部材は、カビや腐敗を防ぐため、適切な乾燥処理が施されます。

3.特殊清掃の費用相場はどれくらい?

特殊清掃の費用相場はどれくらい?

特殊清掃の費用は、物件の広さや汚染状態によって大きく変動します。

ここでは、以下の2つの視点から具体的な費用相場を解説します。

  • 間取り別の相場
  • 作業別の相場

ぜひ、参考にしてください。

(1)間取り別の相場

特殊清掃の費用は、作業が必要になる部屋の広さが大きな判断基準となります。

一般的な相場は以下のとおりです。

間取り費用の目安
1K〜1R(9㎡〜28㎡)80,000〜280,000円
1DK〜3LDK(25㎡〜70㎡)130,000〜500,000円
4DK〜(71㎡~)240,000〜700,000円
物量過多の部屋(ゴミ屋敷)要見積もり

特殊清掃の総額は、通常7万円から70万円程度になることが多いですが、状況によって大きく変動します。

例えば、1Rの清掃で6万円程度で済むケースもあれば、一戸建ての場合は100万円を超えることもあります。

汚染状態や作業の難易度によって費用が変わるため、正確な金額は現場確認後の見積もりで判断しましょう。

(2)作業別の相場

特殊清掃では、必要な作業内容によっても費用が変わってきます。

主な作業別の相場は以下のとおりです。

作業内容料金
体液や血液の清掃49,960〜98,000円
基本消臭処理(例1K)16,700〜24,500円
除菌(例1K)19,120〜22,470円
畳撤去(体液血液付着)5,000〜9,000円/枚
建具撤去(体液血液付着)4,000〜8,000円/枚
オゾン消臭49,800円/h

この作業費用は、汚染の程度や作業の難しさによって変動します。

また、複数の作業を組み合わせることが多いため、実際の費用は個別に見積もりを取ることが望ましいです。

特に体液や血液が付着している場合は、専門的な処理が必要となるため、追加費用についても確認しましょう。

4.特殊清掃と一緒に依頼すべきサービス

特殊清掃と一緒に依頼すべきサービス

特殊清掃の現場では、清掃作業だけでなくさまざまな作業が必要になります。

心理的な負担を軽減し、効率的に原状回復を進めるために、以下のサービスを合わせて依頼することをおすすめします。

  • ハウスクリーニング
  • 不要品の処分・買取
  • 遺品の整理・供養

それぞれについて、いかがで詳しく解説します。

サービス1.ハウスクリーニング

特殊清掃後の原状回復には、プロによるハウスクリーニングが欠かせません。

特に孤独死や事故現場となった部屋は、床や壁、天井にまで汚れが染み込んでいることがあり、一般的な清掃では対応が難しい状態です。

ハウスクリーニングを依頼することで、特殊清掃では手が届かなかった箇所まで徹底的に洗浄・消臭できます。

また、依頼者自身が清掃作業を行うことによる精神的なストレスも回避できます。

プロの技術や専門的な洗剤、機材を使うことで、室内を衛生的かつ快適な状態に戻すことが可能です。

サービス2.不要品の処分・買取

特殊清掃の現場には、大量の家具や家電、衣類などが残されていることがほとんどです。

これらを一括で処分できるサービスを使うことで、依頼者の手間や精神的な負担を軽減できます。

特に注目したいのが、再利用可能な家具や家電の買取サービスです。

通常、不要品の処分には費用がかかりますが、状態が良ければ買取対象となる可能性があります。

買取金額を清掃費用に充てることで、トータルコストを抑えることができます。

サービス3.遺品の整理・供養

遺品の整理は、故人との思い出が詰まった品々を仕分けする必要があるため、精神的な負担が大きい作業です。

そのため、特殊清掃の際にまとめて依頼することで、遺品を丁寧に仕分けできるほか、必要に応じて供養まで行うことが可能です。

遺品整理のプロには、貴重品や思い出の品、処分すべきものを適切に判断し、整理するスキルがあります。

また、位牌やアルバムなどの供養が必要な品々は、しかるべき方法で供養を行います。

孤独死現場や自殺現場の特殊清掃を依頼する際は、遺品の整理・供養も一緒に依頼が可能か確認するようにしてみてください。

5.特殊清掃を依頼してから引き渡しまでの流れ

特殊清掃を依頼してから引き渡しまでの流れ

特殊清掃の依頼から完了までの基本的な流れは、以下の5ステップです。

  • 特殊清掃業者へ連絡
  • 見積もりを取る
  • 特殊清掃の作業
  • 必要に応じて遺品整理やハウスクリーニング
  • 引き渡し

それぞれの流れについて、以下で解説します。

流れ1.特殊清掃業者へ連絡

特殊清掃の依頼が必要になった場合は、まず業者へ連絡する必要があります。

多くの業者は24時間365日対応可能で、電話やメール、LINEなど複数の連絡手段を用意しています。

初回相談では、現場の状況(間取り、汚染の程度、特殊清掃が必要となった経緯など)をできるだけ詳しく説明することが重要です。

また、遺品整理やハウスクリーニングなど、追加で必要なサービスがあれば、この段階で相談しておくことをおすすめします。

状況説明や確認ができた後は、概算の費用や作業期間についての説明を受け、実際に見積もりを依頼するかを検討しましょう。

流れ2.見積もりを取る

正確な見積もりを出すために、業者のスタッフが現場の確認に訪れます。

この際、写真撮影や採寸、汚染状態の確認などが行われ、必要な作業内容や使用する薬剤などが決定します。

渡された見積書に作業内容や料金の内訳が明記されているかを確認し、追加対応が発生する可能性があれば、条件や料金についても説明を受けましょう。

この際、複数の業者から見積もりを取ることで、料金や作業内容を比較検討できます。

見積もりに納得できたら、正式に契約・依頼をしましょう。

流れ3.特殊清掃の作業

契約・依頼後には、実際の特殊清掃作業が開始されます。

現場には防護服や専用の装備を着用した作業員が訪れ、汚染物の除去や除菌、消臭作業を行います。

特殊清掃は、目に見える汚れの除去だけでなく、床下や壁内部の除菌・消臭まで徹底的に行うものです。

作業中は定期的に進捗状況の報告があり、必要に応じて追加の作業について相談することもできます。

流れ4.必要に応じて遺品整理やハウスクリーニング

特殊清掃の完了後、必要に応じて追加のサービスが実施されます。

遺品整理では、故人の持ち物を丁寧に仕分けし、必要なものは保管、不要なものは適切に処分します。

また、ハウスクリーニングでは、特殊清掃では対応できない一般的な汚れの除去や、室内の美観を整えるための作業が行われるのが一般的です。

流れ5.引き渡し

すべての作業が完了したら、引渡し前の最終確認が行われます。

業者によっては、作業報告書や処分品のリスト、領収書などの必要書類が渡されることもあるでしょう。

問題がなければ料金の支払いと鍵の引き渡しが行われ、一連の作業が完了となります。

6.特殊清掃業者を選ぶときのポイント

特殊清掃業者を選ぶときのポイント

特殊清掃は専門性の高い作業であり、業者選びが成功の鍵を握ります。

信頼できる業者を選ぶために、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。

  • 実績・専門性の高さを確認
  • 必要な作業をすべて依頼できるか確認
  • 見積もりの内容が明確か確認

それぞれ、以下で見ていきましょう。

ポイント1.実績・専門性の高さを確認

特殊清掃業者を選ぶ際には、孤独死や事故現場などデリケートな現場での作業実績・経験が豊富な業者を選ぶことが重要です。

実績数や過去の施工事例、保有資格を確認し、専門性の高さをチェックしましょう。

なお特殊清掃に関連する資格については「特殊清掃技能認定」や「貴重品取扱警備員」などを保有しているかどうかをチェックすると安心です。

併せて、感染症対策や消臭・除菌に関する専門的な知識を持っているかどうかも重要な判断ポイントです。

ポイント2.必要な作業をすべて依頼できるか確認

特殊清掃では、清掃作業だけでなく、遺品整理や消臭、害虫駆除など、複数の作業が必要になることがほとんどです。

これらの作業を一括で請け負ってくれる業者を選ぶことで、複数の業者と連絡を取る手間が省け、心理的な負担も軽減されます。

また、廃棄物の適正処理や貴重品の取り扱いなど、法的な手続きが必要な作業にも対応可能な業者であることを確認しておくと安心です。

万が一の場合の保険加入状況についても、事前に確認しておくことをおすすめします。

ポイント3.見積もりの内容が明確か確認

特殊清掃の見積もりを取った際は、作業内容や費用の内訳が明確に示されているかどうかを確認することが重要です。

具体的には、清掃範囲、使う薬剤、消臭作業、廃棄物処理など、各作業項目の費用が個別に記載されているかを確認しましょう。

また、現場の状況によって追加費用が発生する可能性がある場合は、その条件や具体的な金額についても事前に確認しておきましょう。

見積もり時に確認した内容と実際の作業内容や費用に大きな差が出ないよう、不明な点は必ず質問し、書面での確認を取ることをおすすめします。

また24時間対応や緊急対応の有無、アフターフォローの内容についても、見積もり時に確認しておくと安心です。

7.特殊清掃は信頼できる業者に依頼しましょう

特殊清掃は、一般的な清掃とは異なり高度な専門性と経験が必要な作業です。

孤独死や事故現場の処理、ゴミ屋敷の片付けなど、それぞれのケースに応じて適切な対応が求められます。

そのため、信頼できる業者選びが何より重要になってきます。

特に大切なのは、実績と専門性を兼ね備えた業者を選ぶことです。

見積もりの内容が明確で、必要な作業を一括して依頼できる業者であれば、手続きの手間も省け、スムーズな作業進行が期待できます。

また、遺品整理やハウスクリーニングなど、関連サービスも併せて提供できる業者であれば、より効率的に現場を復旧できます。

費用面では、間取りや作業内容によって相場が異なりますが、安さだけを重視するのではなく、作業品質とのバランスを考えることが大切です。

見積もり時には作業内容を細かく確認し、追加料金が発生する可能性についても事前に確認しておきましょう。

信頼できる特殊清掃業者との出会いが、困難な状況を乗り越えるための第一歩となるはずです。

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