特殊清掃の費用相場はいくら?だれが払う?特殊清掃業者を選ぶポイントを紹介
「相場がわからないから、適正価格なのかを判断できない」
「悪徳業者に騙されないか不安」
以上のような不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
特殊清掃は一般的な清掃とは異なり、専門的な知識や技術が必要となるため、費用は決して安くありません。
しかし、「高額だから」という理由で信頼性の低い業者を選ぶと、不適切な処理や追加料金の請求など、さらなる問題を引き起こす可能性もあるのです。
そこで本記事では、特殊清掃の費用相場から、信頼できる業者の選び方、費用を抑えるためのポイントまで具体的に解説します。
特殊清掃の依頼を検討されている方は、ぜひ最後までご一読ください。
1.特殊清掃の費用相場はいくら?
特殊清掃の費用は、間取りや汚染レベル、必要な作業によって数万円から100万円以上と大きく変動します。
一般的な清掃とは異なり、専門的な技術や知識、特殊な機材、資格を持った作業員が必要となるため、費用は安くありません。
また、作業内容によって必要な工程が変わるため、一概に「◯円!」とは言えないのが実情です。
例えば、孤独死の現場であれば消臭・消毒作業が必須であり、ゴミ屋敷の場合は大量の不用品処分費用が加算されます。
(1)間取り別に見る費用
間取り別に見る特殊清掃の費用が以下の通りです。
間取り | 費用の目安 |
1K〜1R(9㎡〜28㎡) | 80,000〜280,000円 |
1DK〜3LDK(25㎡〜70㎡) | 130,000〜500,000円 |
4DK〜(71㎡~) | 240,000〜700,000円 |
物量過多の部屋(ゴミ屋敷) | 要見積もり |
特殊清掃は害虫駆除から孤独死の原状回復など多岐に渡ります。
そのため、固定の費用相場はありません。
上記の金額はあくまでも目安として参考にしてください。
現場の状況や必要な作業内容によって、実際の費用は変動する可能性があります。
(2)作業の種類別に見る費用
作業の種類別に見る特殊清掃の費用が以下の通りです。
作業内容 | 料金 |
体液や血液の清掃 | 49,960〜98,000円 |
基本消臭処理(例1K) | 16,700〜24,500円 |
消毒・除菌(例1K) | 19,120〜22,470円 |
畳撤去(体液血液付着) | 5,000〜9,000円/枚 |
建具撤去(体液血系付着) | 4,000〜8,000円/枚 |
オゾン脱臭 | 49,800円/h |
上記の費用は標準的な相場ですが、現場の状況によって大きく変動する可能性があります。
例えば、腐敗が進んでいる場合や、特殊な処理が必要な場合、追加の費用が発生するのです。
正確な費用を知るためには、必ず複数の業者に見積もりを依頼しましょう。
2.特殊清掃の費用は誰が払う?
特殊清掃の費用負担者は、物件の所有形態や契約内容によって異なります。
基本的には以下の2つのケースです。
- 持ち家の場合:法定相続人
- 賃貸物件の場合:賃貸契約の連帯保証人
それぞれのケースで、支払い義務者が明確に定められているため、費用負担について正しく理解しておく必要があります。
以下で詳しく説明していきましょう。
払う人1.法定相続人
持ち家で孤独死が発生した場合、民法で定められた法定相続人が特殊清掃の費用を負担します。
法定相続人には、故人の子どもを筆頭に、配偶者・親・祖父母・兄弟姉妹などです。
ただし、相続人が費用を支払えない、支払いたくない場合は、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります(民法第915条)。
相続放棄した場合、すべての相続財産を放棄することになるため、遺品の整理なども一切できません。
しかし、法定相続人が連帯保証人になっていた場合は、相続放棄の有無を関わらず支払いの義務が発生します。
もし、すべての法定相続人が相続放棄した場合は、家庭裁判所から選任された相続財産管理人が、故人の財産から清掃費用を支払うことになるのです。
払う人2.賃貸契約の連帯保証人
賃貸物件での孤独死の場合、原則として賃貸契約時に設定された連帯保証人が特殊清掃費用を負担します。
賃貸借契約における原状回復義務の一環として位置づけられているためです。
連帯保証人が不在の場合は、次の順序で支払い責任が発生します。
- 法定相続人
- 賃貸物件の所有者
ただし、故人に十分な財産が残されている場合は状況が変わります。
賃貸物件の所有者は債権者として、故人の財産から特殊清掃費用を回収できるかもしれません。
しかし、債権者として特殊清掃費用を負担した場合でも、勝手に故人の財産状況を確認したり、特殊清掃費用分を回収する事は犯罪に当たる可能性があります。
必ず、家庭裁判所に相続財産管理人の申立てをしましょう。
3.特殊清掃業者を選ぶ5つのポイント
特殊清掃業者を選ぶ際は、以下の5つのポイントをしっかりと確認しましょう。
- 豊富な実績と経験があり主とする業務が特殊清掃かどうか
- 見積もり書が詳細に書かれているか
- 必要な許可を取得しているか
- 作業前に契約書や同意書を提示するか
- 口コミや評判は良好か
信頼できる業者を選ぶことで、安心して依頼できます。
ポイント1.豊富な実績と経験があり主とする業務が特殊清掃かどうか
豊富な実績と経験を持つ業者を選ぶことが重要です。
また、業者が主とする業務が特殊清掃なのかどうかを確認しましょう。
特殊清掃は専門性の高い作業のため、半端な技術や知識で作業をすると、問題の解決が出来ないからです。
優良業者は自社のホームページで過去の作業事例を公開しています。
自社の作業品質に自信があるからこそできることです。
作業事例を確認する際は、以下の点に注目しましょう。
- 具体的な作業内容の説明があるか
- Before/Afterの写真があるか
- 依頼者の声が掲載されているか
また、作業事例を見ることで、その業者が自分のケースに対応できるか、ニーズに合っているかも判断できます。
ポイント2.見積もり書が詳細に書かれている
見積もり書の内容は、業者選びの重要な判断材料です。
詳細な見積もり書を提示する業者は、以下のような特徴があります。
- 作業内容が具体的に記載している
- 料金の内訳が明確になっている
- 追加料金が発生する条件を明記している
- 作業期間や完了予定日が示している
特に料金の内訳が細かく記載されていることは、後から追加請求されるリスクを低減できます。
また、複数の業者から見積もりを取得して比較することで、適正な価格かどうかも判断できるのです。
ですが、日本は特殊清掃における作業基準が無く不透明な業界なので、料金に関する統一性を見つけることが難しいと言えます。
そのため、やり取りをする中で些細な点でも質問をして、回答に信頼をおける人に依頼するというのも良いでしょう。
見積もり内容に不明な点がある場合は、必ず質問して確認してください。
ポイント3.許可を取得している
特殊清掃では、法令で定められた許可の取得が必須です。
特に大切なのは以下の許可になります。
- 一般廃棄物収集運搬業許可
- 産業廃棄物収集運搬業許可(必要に応じて)
上記の許可を持っていない業者は、法令違反の可能性があります。
ただし、自社で許可を持っていなくても、許可を持つ協力会社と連携している場合は問題ありません。
その場合は、協力会社の許可証も確認するようにしましょう。
ポイント4.作業前に契約書や同意書を提示する
信頼できる特殊清掃業者は、必ず作業前に契約書や同意書を提示します。
書類には以下のような重要事項の記載を確認しましょう。
- 作業内容と範囲
- 料金と支払い条件
- 作業期間
- キャンセル規定
- 免責事項
- 個人情報の取り扱い
契約書の提示は、業者の誠実さを示す重要な指標です。
また、万が一のトラブル時にも、契約書があることで適切な対応を期待できます。
契約書の内容は必ず読み、不明な点は質問してから署名するようにしましょう。
ポイント5.口コミや評判をチェック
特殊清掃業者の評判は、以下の方法で確認できます。
- Google Mapsのクチコミ
- 特殊清掃の口コミサイト
- SNSでの評価
- 知人からの紹介や体験談
ただし、ネット上の口コミには偽装されたものもあるため、複数の情報源から総合的に判断することが重要です。
特に注目すべき点は、以下の4つになります。
- 対応の丁寧さ
- 作業の質
- 料金の適正さ
- アフターフォロー
また、可能であれば実際に依頼した人から直接話を聞くことで、より正確な情報を得られます。
4.特殊清掃にかかる費用を抑える3つの方法
特殊清掃の費用を抑えるためには、以下の3つの方法が効果的です。
- 不明瞭な見積書の業者は避ける
- 相見積もりを取る
- すぐに作業を開始できる業者を選ぶ
以上のポイントを押さえることで、適正価格での特殊清掃が実現できます。
方法1.不明瞭な見積書の業者は避ける
特殊清掃の費用を抑える第一のポイントは、見積書の内容が不明確な業者を避けることです。
一式という表記だけで具体的な作業内容や料金の内訳が記載されていない見積書は、後から追加料金を請求されることが多くあります。
信頼できる特殊清掃業者は、以下の項目を明確に記載するので、確認しましょう。
- 作業内容の詳細(消臭、除菌、廃棄物処理など)
- 作業範囲(部屋ごとの面積)
- 使う薬剤や機材の内訳
- 人件費や諸経費の明細
- 廃棄物処理費用
上記のように詳細な見積書を提示する業者であれば、最終的な特殊清掃の費用が予想外に膨らむリスクを避けることができます。
方法2.相見積もりする
特殊清掃の費用は業者とその作業内容によって大きく異なるため、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
同じ作業内容でも、業者間で数万円から数十万円の価格差が生じることも珍しくありません。
相見積もりを取る際のポイントは、以下のとおりです。
- 最低でも3社以上に依頼する
- 見積書の有効期限を確認する
- 作業開始可能時期も併せて確認する
ただし、価格だけでなく、業者の信頼性や実績も重要な判断基準として検討しましょう。
方法3.すぐに作業を開始できる業者を選ぶ
特殊清掃は、時間が経過するほど費用も増加する傾向にあります。
汚染範囲の拡大や、害虫・害獣の繁殖により、必要な作業量が増えるためです。
早期対応のメリットは、以下4つがあります。
- 汚染の拡大を防止できる
- 二次被害(カビの発生など)を最小限に抑えられる
- 建物の損傷を防ぐことができる
- 近隣への影響を最小限に抑えられる
見積もり依頼時には作業開始可能日を必ず確認しましょう。
中には、即日対応を謳って、無理に契約を勧めてくる業者もいます。
依頼者にとって無理のないスケジュールで対応してくれる業者を選ぶことで、結果的に特殊清掃の費用を抑えることができるのです。
5.悪徳な特殊清掃業者に共通する特徴は全部で3つ
特殊清掃を依頼する際、悪徳業者による被害に遭わないよう、以下の3つの特徴を把握しておく必要があります。
- 相場よりも極端に安い料金設定をしている
- 「現場を見ないとわからない」の一点張り
- 作業内容や費用の説明が不十分
以上の特徴を持つ業者と契約してしまうと、作業後の高額請求や不適切な清掃作業などのトラブルに発展することもあるので、注意しましょう。
見極めのポイントと対処方法を詳しく解説します。
特徴1.低すぎる料金設定
極端に安い料金を提示する業者には要注意と言えます。
特殊清掃は専門的な知識や技術、特殊な機材が必要な作業のため、一般的な清掃よりも費用が高くなりがちです。
例えば、1DKの特殊清掃で相場が15万円程度なのに、5万円程度で対応すると主張する業者は、以下のような問題を抱えている可能性があります。
- 適切な消毒・除菌作業を行わない
- 必要な防護服や専門機材を使用しない
- 作業後に追加料金を請求する
- 法令に従った適切な廃棄物処理を行わない
以上のような業者に依頼すると、不衛生な状態が残ったり、予想外の高額請求を受けたりするリスクがあります。
見積もり時には、作業内容の詳細と料金の内訳を必ず確認しましょう。
特徴2.「見ないとわからない」とだけいう
電話での問い合わせ時に「現場を見ないとまったくわからない」と一点張りの業者は、経験不足や知識不足の可能性があります。
優良な特殊清掃業者の対応は、以下の通りです。
- 間取りや状況を詳しく聞き取る
- おおよその費用感を説明する
- 追加料金が発生する項目を明示する
- 現場確認の必要性を丁寧に説明する
また、特殊清掃の相談をしているのに、遺品整理やハウスクリーニングなど、的外れな提案をする業者も避けるべきです。
以上のような業者は専門性が低く、適切な作業ができないことも多いでしょう。
ですので、ホームーページなどを見て、どんな作業を主としてるかを確認してください。
特徴3.丁寧な説明をしない
丁寧な説明をしない業者は、要注意です。
優良な業者は必ず以下のような丁寧な説明を行います。
- 作業の手順と必要性
- 使う薬剤や機材の説明
- 費用の内訳と支払い方法
- 作業時間の目安
- 必要な書類や手続きの説明
説明が雑な業者や、質問への回答が曖昧な業者とは契約を避けましょう。
特に以下のような場合は要注意です。
- 見積書の提示を渋る
- 契約書の内容が不明確
- 質問への回答がはぐらかされる
- 作業内容の説明が具体的でない
以上のような業者に依頼すると、作業後のトラブルや追加請求などの問題が発生することも多くなります。
6.特殊清掃の費用は安くないが、安すぎる業者は注意しよう
特殊清掃の費用は、一般的な清掃とは比べものにならないほど高額になりがちです。
1DKで30万円前後、3LDKともなれば100万円を超えることもあります。
しかし、この費用は決して不当なものではありません。
特殊清掃には、専門的な知識や技術、そして何より作業員の心身への負担が大きいからです。
また、遺品の仕分けや廃棄物処理、消臭・除菌作業など、多岐にわたる作業工程が必要になります。
そのため、あまりにも安価な見積もりを提示する業者には要注意です。
特殊清掃は決して安価なサービスではありませんが、大切な方への最後の務めとして、適切な費用で信頼できる業者に依頼しましょう。