死臭とはどういう臭い?消し方や対処法を解説します

「死臭」という言葉を、ニュースや小説で目にしたことがある人も多いでしょう。

しかしその実態や臭いの消し方となると、想像もつかないという方が多いのではないでしょうか。

死臭は放置してしまうと、その部屋だけでなく周囲の住民にも被害が広がる可能性が高いです。

本記事では死臭の正体から発生原因、効果的な消し方を詳しく解説します。

1.死臭とはどのような臭い?

死臭の臭い

死臭とは、遺体が放置され腐敗することで発生する強烈な臭いの総称で、腐敗臭や腐乱臭とも呼ばれます。

孤独死が起きた部屋では、放置された生ゴミや排泄物なども含めて「死臭」と総称されることが多いです。

一度嗅いだら忘れられない悪臭で、トラウマになってしまう人も少なくありません。

生ゴミやチーズ、くさやが腐敗したような臭いに例えられますが、実際はそれらをはるかに超える強烈な臭いです。

腐敗が進行するにつれて、アンモニア臭や硫黄臭、腐った卵のような臭いが混ざり合い、独特の悪臭を形成します。

2.死臭や腐敗臭が発生する原因は主に3つ

死臭や腐敗臭が発生する原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 遺体が腐敗している
  • 生ゴミなどの有機物が腐敗している
  • 動物の死体がある

この原因について、詳しくみていきましょう。

原因1.遺体が腐敗している

遺体の腐敗過程で有機物が分解され、体内のバクテリアが活発化すると、ガスが発生します。

ガスにより遺体が膨張して破裂すると、体液や血液が流出して臭気が一気に強くなるのです。

遺体から流れ出た体液や血液は床や壁に染み込む他に、体液が付着している虫が壁に止まることで、さらに被害範囲が増大します

集合住宅の場合、隣接する部屋や階下まで汚染が広がり、建物全体に影響をおよぼすのです。

原因2.生ゴミなどの有機物が腐敗している

特に孤独死が起きた部屋やいわゆる「ゴミ屋敷」では、食品などの有機物が長期間放置されていることが多く、それ自体が強烈な臭気を発生させます。

普段の生活でもうっかりゴミを放置して臭いが発生することはあるので、比較的想像しやすい臭いかもしれません。

しかし有機物が長期間放置されて腐敗が進んだ場合、その臭いは想像を超える強さになります。

生ゴミはどろどろの液状になって床や壁に染み込み、遺体の腐敗臭と混ざって強烈な悪臭へ発展するのです。

原因3.動物の死体がある

排水溝や天井裏、床下など目につきにくい場所で動物が死亡し、そのまま放置されると強い悪臭が発生します。

ネズミ程度のサイズでも空調ダクトの近くで死亡した場合、配管を伝って建物全体に悪臭が広がってしまうのです。

ゴミ屋敷では、害獣の死体が見つかるケースも少なくありません。

動物の死体による臭気は発生場所や建物の構造によって、広範囲に影響をおよぼします。

2.死臭や腐敗臭を放置するのは危険

消臭をしている人

死臭や腐敗臭は放置しても自然に消えることはなく、むしろ悪化します。

遺体や腐敗した有機物から発生する汚液は、時間とともに床や壁を伝って建物の構造体まで染み込むからです。

強烈な悪臭は生活の質を著しく低下させ、心身に多大なストレスを与えます。

建物全体に汚染が広がると、大規模な消臭・除菌処理が必要になることも。

汚液に含まれた有害な細菌やウイルスによる感染症や疾患のリスクも、大きな問題です。

死臭に気付いたら即座に警察や管理会社、特殊清掃業者などに相談しましょう

適切な対策を行うことが、被害の拡大を防ぎ、健康リスクを最小限に抑える方法です。

3.死臭や腐敗臭を消すための7ステップ

ステップバイステップを表した画像

死臭や腐敗臭を取り除くには専門知識と高い清掃技術、プロ仕様の機材が必要です。

死臭や腐敗臭を消すための7ステップを紹介します。

  1. 室内を密閉して汚染ゾーンとそれ以外に区分けする
  2. 汚染物を処理する
  3. 清掃・除菌作業を行う
  4. 汚染部位を特定する
  5. 汚染された部位の撤去や防臭処理を行う
  6. オゾン脱臭を行う
  7. 原状回復工事を行う

それでは、各ステップの詳細をみていきましょう。

ステップ1.室内を密閉して汚染ゾーンとそれ以外に区分けする

臭いの拡散を防ぎ、周囲への影響を最小限に抑えるために行います。

換気が有効に思えるかもしれませんが、臭いを周囲に広げてしまうので、窓を開けるのは厳禁です。

窓をぴったり閉めて、ドアの開閉も最低限に抑え、臭いが外に漏れるのを防ぎます。

これは近隣住民への心理的な配慮であると同時に、作業の円滑な進行に役立つのです。

ステップ2.汚染物を処理する

タンスやベッド、カーペットなど、汚染物を丁寧に運び出します。

血液や体液が付着した荷物を搬出するだけで現場の悪臭が大きく改善するからです。

搬出の際はエレベーターの使用は避けて階段など人通りの少ない経路を選びます

汚染源の迅速な撤去と同時に、臭いの拡散を防ぐ配慮も大切なポイントです。

ステップ3.清掃・除菌作業を行う

次に、本格的な清掃・除菌作業に入ります。

特殊清掃で使用される洗剤や機材は、一般的な市販品とは異なるプロ仕様のものです。

死臭や腐敗臭に対して、市販の洗剤や消臭剤はほとんど効果がありません。

そのため特殊清掃業者は汚染の種類や程度に応じて、バクテリアや有害物質を除去する複数の薬剤を使いわけるのです。

この段階で遺品整理や貴重品の捜索も同時に行います。

ステップ4.汚染部位を特定する

汚染部位の特定は、臭い戻りを防ぐうえで非常に重要なステップです。

畳下の床板や断熱材、フローリングなどを必要に応じて切断し、汚染の進行状況を詳細にチェックします。

液体が浸透しやすい部分や壁と床の接合部、配管周りなど表から見えづらい部分は特に念入りな調査が必要です。

効果の高い消臭作業には、汚染部位を的確に突き止めることが欠かせません。

ステップ5.汚染された部位の撤去や防臭処理を行う

汚染された部位を撤去、清掃して防臭処理を行います。

壁紙やカーペットは臭いが染み付きやすく、通常の清掃で完全に臭いを取り除くのは困難です。

多くの場合、壁紙やカーペット、クッションフロアは交換になります。

構造体まで汚染が進んでいる場合は、石膏ボードやフローリングを撤去することも。

現場が浴室だった場合は、排水管や湯沸かし部分の高圧洗浄を行うこともあります

排水管内に残留した汚物や臭いを完全に取り除き、臭い戻りを防ぐためです。

ステップ6.オゾン消臭を行う

清掃作業の仕上げとして、オゾン消臭機を用いた作業を行います。

オゾンには目に見えない臭い物質そのものを分解するという性質があるので、死臭にも高い消臭効果が期待できます。

オゾン消臭の効果を最大限に発揮するには、汚染部位をすべて取り除き、室内を密閉しなければなりません。

オゾン消臭機は一度に数時間稼働させますが、臭いの強さや残存状況によっては、この工程を何度か繰り返すこともあります。

長期的な臭い対策を行うなら、このステップは欠かせません。

ステップ7.原状回復工事を行う

原状回復工事は再び人が住めるように、住居としての機能を回復させるものです。

壁紙やフローリングの修繕、場合によってはユニットバスの入れ替えなどを行います。

事故や事件があった部屋の内装を大きく変更することで近隣住民の心理的瑕疵に配慮し、以前の印象を払拭するという目的もあります。

事件や事故の痕跡を取り除き、快適に暮らせる環境を整えるのも特殊清掃業者の役割です。

4.自分たちで死臭を消すのが難しい3つの理由

自分たちで死臭の除去を行うのは困難です。

汚染が布団やベッド上だけに限定されていても、撤去した荷物は普通のゴミとして処分できません

他にも自分たちで死臭を消すことが難しい理由として、以下の3点が挙げられます。

  • 感染症や怪我のリスクが高い
  • 心身にかかるストレスが大きい
  • 臭い戻りが起きやすい

この理由について詳しくみていきましょう。

理由1.感染症や怪我のリスクが高い

死臭が立ち込めている部屋は、有害な菌やウイルスに汚染されていることが多く、感染症や疾患のリスクをはらんでいます。

さらに孤独死の現場では生活ゴミや遺品が散乱していることも多く、怪我のリスクも無視できません。

割れたガラスや錆びた金属などが散らばっている環境に立ち入るには防護服やゴーグル、マスク、手袋などを着用する必要があります。

特殊清掃に求められるのは装備や機材を正しく使用するための知識とスキル、高い清掃技術、感染症への知識です。

単なる清掃ではなく、高度な専門性と経験を要する危険な作業だといえるでしょう。

理由2.心身にかかるストレスが大きい

死臭や腐敗臭は、多くの人が「例える言葉が見つからない」と表現するほど強烈な悪臭です

一度嗅いだだけでトラウマになってしまう人も少なくありません。

強烈な死臭に晒されながらの清掃作業は、想像以上に心身を消耗させます。

特に故人と近しい関係にあった場合、心理的な負担はさらに大きくなるでしょう。

作業後も臭いの記憶が残り、食欲不振や不眠に悩まされるケースも少なくありません。

死臭の除去作業は単なる肉体労働ではなく、極めて高いストレスを伴う精神的な作業でもあります

そのため、死臭の除去作業は心身にかかる負担は非常に大きいのです。

理由3.臭い戻りが起きやすい

特殊清掃に関するクレームで最も多いのが、臭い戻りの問題です。

一見きれいに清掃したように見えても、時間が経つと再び臭いを感じるようになります。

見えている部分だけを清掃しても、臭いの根本原因を取り除けていないケースが多いためです。

死臭や腐敗臭の原因物質は、フローリングの隙間や壁の中、床下など、目に見えない部分にまで浸透していることがあります。

汚染がどこまで進んでいるのか正確に突き止めるには、専門的な知識と経験が必要です。

死臭の完全な除去には、表面的な清掃だけでなく建物の構造や材質を考慮した総合的なアプローチが求められます。

死臭を根本から消すにはプロの特殊清掃業者に依頼するのが大切

死臭や腐敗臭は単なる不快な臭いではなく、深刻な健康リスクや心理的影響をもたらします。

悪臭を完全に取り除き臭い戻りを防ぐには、専門的な知識と技術が不可欠です。

プロの特殊清掃業者は徹底した清掃、オゾン消臭、原状回復工事を一貫して行います

目に見えない汚染部位の特定や建物構造を考慮し、住人の心理的瑕疵にも配慮したスピーディーかつ確実な対処が可能です。

死臭対策は、単なる清掃以上の意味を持ちます。

死臭や強い腐敗臭に遭遇した際は自己対処を避け、速やかに専門家に相談しましょう。

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